『ヨルダンの危険信号が点滅を始めた』

2012年11月18日

ヨルダンの反政府デモが、だんだんエスカレートしてきている。その理由は、ガソリンの値上げだということになっているが、それは本当の理由ではあるまい。これまで、ヨルダンのムスリム同胞団が、デモの黒幕だったが、次第に本音を顕にしてきた、ということであろう。

以前、デモが起こると、デモの理由は食品の値上がりなどだった。従って、デモ隊は首相を非難する。すると国王は首相を更迭して、別の人物を首相職に据える、というパターンが繰り返されてきていた。

しかし、今回は状況が全く異なるようだ。これまでデモ隊が国王非難をするシーンは見られなかった。それは国王非難、王家非難は大罪に値するからだった。犯した者は容赦なく取り締まられることに、なっていたのだ。

今回起こっているデモでは、デモ隊のメンバーが声高に、アブドッラー国王体制の、打倒を口にし始めている。これまでとは全く異なる形に、変貌しているのだ。これでは首相の更迭とすげ替えでは、対応しきれまい。

結果的に、国王はデモ隊に対し、弾圧対応を採らざるを得なくなるだろう。それは国王の側もデモ隊の側も、エスカレートすることはあっても、状況の沈静化には繋がるまい。

そして遂には、多数派を占めるパレスチナ人が、ヨルダン国内で力を増していく、ということであろう。

デモの形がここにきて、国王体制打倒という形に大変化したのは、ヨルダンのムスリム同胞団が、自信をつけたからではないか。つまり、機は熟したと判断したのではないか。

ガザのパレスチナ・ハマース勢力と、エジプトのムスリム同胞団政権との関係は、日に日に強くなってきている。シリアでも反アサドの動きのなかで、ムスリム同胞団の存在が、大きくなってきている。

ヨルダンのムスリム同胞団は、時が到来したと判断したのではないか。そうであるとすればこれから1年、長くとも2年の間にヨルダンでは大変革が起こりうるということではないのか。もうこの状況に対する対応で、首相更迭のカードは、通用しなくなったのだから。