日本では全く関心が払われていないが、中東世界ではトルコとシリアが、戦争をするかしないかということが、結構話題になっている。それは、シリアとトルコとの間で、砲撃が繰り返されているからであろう。
トルコはシリアの反政府に対し、便宜供与を行っている、一説によれば、サウジアラビアやカタールが、シリアの反政府側に送る資金と武器、それにジハーデスト(イスラム義勇軍)を、トルコが受け入れて、シリア国内の反政府側に届けているというのだ。
当然ことながら、シリア政府はこれを非難し、介入だとトルコを非難しているが、その流れのなかで警告的な砲撃が、シリア側から行われ、それに対して、トルコが反撃するというものだ。
これまでトルコ側は、シリアから流入する、難民の受け入れに頭を痛め、シリア国内に難民のための、安全地帯を設けようとも思ってきた。しかし、それは危険なことであり、シリア側は、トルコが難民用の安全地帯を保護しようと思えば、当然のこととして領土侵犯と、非難するであろう。また、その維持費は莫大な額にも上ろう。
トルコの国内で、シリアと一戦を構えてもかまわない、という発言をしているのは、エルドアン首相ぐらいで、ほとんどの閣僚や与党議員たちは、戦争を望んではいない。また、国民も同様で、戦争を望んでなどいないのだ。
そこで中東の専門家たちは、どう考えているのかを、ご紹介しよう。
『戦争には至らない』
:シリアは戦争を決定する状況に無い。
:トルコはNATO のメンバー国であり、一国で戦争を始めることは出来ない。NATO のラムセッスン議長は、沈静化を主張している。
:戦争が始まれば、イランが参戦し、結果的にロシア、アメリカも参戦する、大戦争に発展する危険性が高い。
:アメリカはイランを刺激する行動は、採りたくないと考えている。
しかし、シリアがトルコに対し、内政干渉と介入だと非難しており、砲撃が続けられれば、最終的にはシリアが戦争を決断するだろう、という予測をする専門家もいる。
最近、トルコのエルドアン首相が、イスラム教の大先生にお伺いを立て、長時間電話で話し合った、という情報が伝わってきたが、その大先生が長時間の電話に応えたということは、彼の助言をエルドアン首相が、受け入れたからであろう。