パレスチナ自治政府議長のマハムード・アッバース議長は、自身の利益を中心にのみ、物事を考える人物のようだ。最近行った、イスラエル・テレビ2チャンネルとのインタビューのなかで彼は失言をしている。結果的にハマースなどから、激しい非難を浴びている。
それは、将来設立することを、パレスチナ人もマハムード。アッバース議長も夢想している、パレスチナ国家に関するものだっただけに、反響はきわめて大きかったようだ。
彼はイスラエル・テレビ2チャンネルとのインタビューのなかで『私は難民ですが、西岸のラマッラ市に住んでいます。私は西岸とガザはパレスチナの土地だと信じています。そしてその他の地域は、イスラエル領土だと考えています。』と言ってのけたのだ。
このマハムード・アッバース議長の這発言からは、現在、イスラエル領土になっている、パレスチナの地から追い出された人たちの帰還権は、スッポリ抜けているのだ。
これまでパレスチナの地を追われ、外国に居住するパレスチナ人難民の、帰還権はパレスチナ解放闘争の、根幹を成していた。パレスチナ革命闘争を立ち上げた人たちの、相当部分が現在のイスラエルの地から、追放された人たちだったからだ。
今回の、マハムード・アッバース議長の発言では、この最も重要な部分が抜けていたのだ。ガザのハマースのリーダーである、イスマイル・ハニヤ氏はマハムード・アッバース議長を、激しく非難しているが『、マハムード・アッバース議長自身は、彼の出生地サファドに、帰りたくないのであろう。マハムード・アッバース議長は西岸のラマッラ市か、ヨルダンのアンマン市に居住したい、と望んでいるのであろう。』と揶揄している。
パレスチナの土地に、イスラエルが建国されることになった遠因は、イギリスのバルフォア卿がユダヤ人に対し、ホーム・ランドを建設することを、約束したことに始まるが、以来、イスラエルが建国されて久しいが、バルフォア宣言からも既に、95年が経過しているということだ。
ガザの生活苦は一般的に知られているが、西岸地区でも、公務員に対する給与未払い問題や、物価の高騰と庶民にとっては、厳しい生活環境となっている。最近、ガザ出身者が西岸で焼身自殺をしているが、それはチュニジアの革命のきっかけとなった、ブアジジ氏を真似たものであったろう。
マハムード。アッバース議長は、デモが平和的であれば止めないし、大衆にはデモの権利がある、とうそぶいているが、そんなことでは今後、済まされなくいなるのではないか。パレスチナにもアラブの春革命の影響が、及んでいるということだ。それは、イスラエルに対する革命というよりも、パレスチナ自治政府に対してではないのか。