欧州諸国の経済悪化のなかで、トルコだけが活況を呈し続けてきている。それが何時まで続くのかが、一番の関心事であろう。経済の活性化が続くのであれば、自然と政治的安定も、期待できるからだ。
今回のトルコ訪問で、感じたままを報告する。イスタンブール市は相変わらずの交通渋滞で、出勤時退勤時には自家用車で移動する、ビジネスマンが多いために、道路は異常に混雑する。従って渋滞は当たり前になっている。
道路が混んでいなけれ、30分で移動できる距離でも、1時間や2時間を越えることは珍しくない。従って、朝は早めの出勤になるし、帰りは自宅までゆっくりドライブ、ということであろう。
そのこともあってか、イスタンブール市内のレストランは混んでいる。夕食を外で済ませて、帰宅するビジネスマンが多いのであろう。
市内は高級レストランほど、混んでいる感じがした。日本で言うラーメン屋のようなレストランは、それに対し空き席が目立っていた。トルコ人の見栄っ張りもあってのことだろうが、基本的に景気がいいということであろう。
トルコはいまインフレが昂じてきているが、10年以前のようなハイパー・インフレではないため、国民は動揺していないようだ。インフレ以上に景気がいいことの方が、気になっているのであろう。
一時期気になっていた、ヨーロッパ諸国による締め付けは、いまだに起こっていない。というよりも、ヨーロッパの金持ちたちは、トルコへの投資を、利益を得る唯一の場所、と考えているのではないか。
輸出額にもそう大きな変化は無いようだし、中東諸国のトルコに対する、期待感と依存感はいまだに強い。
トルコ国民、なかでも経営者たちは一様に強気だ。彼らの市場は中東、中央アジア、ロシア、アフリカといった国々であり、欧米に偏重していないため、欧米の景気低迷のダメージを、直接受けることは無いようだ。
トルコの民間企業団が主催し、政府がバックアップしてきた、TUSKON 会議(貿易促進のためのバイヤーを招待して行う会議と見本市)は今でも続いており、中東、中央アジア、アフリカ諸国のバイヤーを増やしている。特に軽工業品や繊維製品の市場として、これらの国々に対する期待は、大きいようだ。
人口構成、近い市場、近隣諸国からのトルコへの投資意欲、そうしたものがここ当分の間、トルコの経済を下支えし続ける、と判断していいのではないか。