リビアの議会が多数決で、アリー・ゼイダーン氏が新首相に選出した。しかし、彼は臨時の首相ということのようなので、何時までその職に留まるかは分からない。
このアリー・ゼイダーン氏を首相に推したのは、ムスリム同胞団と関係のある公正建設党という政党だ。
新首相に選出されたアリー・ゼイダーン氏は、これから2週間の間に、組閣作業を行わなければならない。しかし、それは至難の業ではないか。彼の前任者のシャグール首相は、結果的に辞任に追い込まれているし、シャグール政府で内相を務めていた人物は、途中で職を投げ出しそうになったのを、かろうじてその職に留められていた。
さて、このアリー・ゼイダーン氏なる人物は、どのような人なのであろうか。一般的には(少なくとも私は彼の存在を知らなかった)、あまり知られていなかったのではないかと思われる。
それは、彼がカダフィ時代に外交官職にあったものを、体制批判の立場から外交官職を捨て亡命して、反体制活動をしていたからだ。もちろん、リビア人の間では、ある程度知られていたのかもしれない。
リビア人の評価ではアリー・ゼイダーン氏は穏健な人物のようだ。しかし、彼の内面は極めて強固(強い意志)なもののようだ。
アリー・ゼイダーン氏はフランスのサルコジ大統領と、関係が深い人物のようで、リビア革命後はEU側の国家再建の、役割の一端を担った一人のようだ。
リビア国内はいまだに多くの武器が、部族や家族、政党の間に拡散しており、ほんの小さな火花が、簡単に武力衝突を生み出す、危険な状況にある。その危険を段階的に和らげて行き、リビア社会を安定させることが出来るのだろうか。
正直に言わせていただけば、彼を支える組織がムスリム同胞団だとは言え、それは極めて実現性の低い、話ではないかと思われる。つまり、アリー・ゼイダーン新首相は、相当な困難を抱えて、国家の運営をスタートする、ということであろう。