シリアで戦闘が始まって、既に1年半以上の時間が過ぎ去っている。その間に、シリアの文化遺産が次々に、破壊されてきている。それは単にシリア国民だけではなく、世界人類の遺産なのだ。
シリアは古くはヒッタイトの時代から始まり、イスラム時代にはウマイヤ朝の首都があったところであり、同時にギリシャやローマの遺跡も沢山ある。そして十字軍の侵攻で、アラブとヨーロッパの血が、混じった国でもある。
シリアは結果的に、ヨーロッパ人のような黄毛碧眼の美人が多数いるし、ハンサムな青年も少なくない。
シリアは以前、食糧自給ができる、数少ないアラブの国として、知られていたし、多くの歴史的遺産があることから、観光でも十分な収入が、見込まれる国なのだ。シリアの職人の造る伝統工芸品は、日本人旅行者も引き付けることが出来る、魅力的なものが少なくない。
シリアで始まった革命という名の内戦は、こうしたシリアが持っていた、貴重な歴史的財産を、次々に破壊してしまっている。アレッポの街はシルクロードの末端とも言われ、アラブの隊商貿易の一大拠点とも言われた街なのだ。
シリアのアレッポの街には、長い回廊があり、その両脇には何百という数の店舗が並んでおり、店舗に並ぶ数々の商品は、旅人の目を楽しません、引き付けていたのだ。そのため街は活況を呈していた。
そのアレッポの街が内戦で焼かれ、あちこちが砲弾で崩され、壁は銃弾で穴だらけになってしまった。もちろん多くの熟練工たちも、内戦の犠牲になっているであろう。
このアレッポを再建するには、相当の時間と熱意を要するのではないか、と思われるし、それが可能になるのは、シリア政府の努力と国際支援、そして住民の熱意がなければ、かなわないことであろう。
アレッポの街ばかりではなく、先週の土曜日にはアレッポのモスク(イスラム教の寺院)も破壊されてしまった。このモスクはウマイヤの12世紀に、建てられたものであり、歴史的にも宗教的にも、きわめて価値の高いものだ。
反体制派は、このウマイヤ・モスクの破壊は、政府軍の攻撃による、と政府を非難しているが、そこに立てこもっていたのは反政府側であり、どちら側にも責任があろう。
これらの建造物の一つのシタデルや、アレッポのスーク(市場)などは、UNESCOが世界遺産として、認めているものだ。もちろんUNESCOは、何とかアレッポでの戦闘を止め、歴史遺産を守りたいと考え行動している。そこで、日本はシリアの現状に対して、何もしなくていいのだろうか。