エジプトのモルシー大統領が検事総長を首にして、彼をバチカン大使に任命すると発表した。しかし、アブドルマギド・マハムード検事総長は、この決定を拒否した。
エジプトの法律では大統領には、検事総長を首にする権限がない、ということを盾にとっての、アブドルメギド・マハムード検事総長の抵抗であろう。しかし、モルシー大統領はアブドルメギド・マハムード検事総長の補佐官を昇格し、新検事総長に据える方針のようだ。
何故このようなことが、唐突に起こったのであろうか。エジプトで噂されているのは、革命時に解放広場にラクダと馬で乗り付けた、暴力集団がいたが彼らは、デモ参加者を蹴散らし怪我をさせている。エジプトの裁判所は彼らを、最近無罪で釈放したことに、理由があるのではないか、と言われている。
一般的には、この暴力集団はムバーラク大統領支持者たちだった、と言われているが、最近になって、実はムスリム同胞団がデモ参加者を激昂させるために仕組んだ、罠だったという情報が流れ始めている。そう考えると、暴力集団が無罪で釈放された理由が、分ろうというものだ。
アブドルメギド・マハムード検事総長は居残る方針だが、モルシー大統領は彼を執務室から追い出すことが、出来ないのではないか。2006年の7月に就任したアブドルメギド・マハムード検事総長には、検事総長の執務室に、検事総長として、任期満了まで居残る権利があるのだから。
それを否定する法律は、いまのエジプトには存在しない。そうなると、モルシー大統領側は、彼にかかわる、何らかのスキャンダルを探さなければなるまい。
これに関連してか法務大臣が辞任する、という情報も流れた。しかし、アハマド・マッキ―法務大臣は即座に、辞任説を否定している。
ムスリム同胞団にはこれまで、統治経験がないことと、一日も早い権力の全体掌握を考えていることから、今回のような初歩的なミスが、生まれているのではないかと思われる。
それがかわいいミスで終わればいいのだが、そうでないと反体制派の人士に、ムスリム同胞団体制に対する、非難と攻撃の機会を与えることになろう。