以前、アラブ首長国連邦の構成国の一つである、ドバイ首長国の警察長官が、シリアの反体制派支持に関連して、同国居住のシリア人を、締め付ける対策を発表した。そしてそれに続き、その後同長官が、より一層明確にムスリム同胞団を、警戒する旨の発言をした。
これらの一連の発言は、警察長官個人の見解ではなく、ドバイ首長国の方針であろうとご報告した。次いで、それはアラブ首長国連邦全体としての、立場であろうともご報告した。
昨日、それを裏付ける発表があった。アラブ首長国連邦のシェイク・アブドッラー・ビン・ザーイド外相が『ムスリム同胞団は国民国家や、国家の独立性を考えていない。他国の独立性を侵すことを問題視していない。』と語ったのだ。
一部の組織が国家を使役して、他国に関与しているとも語っているが、それは明らかにエジプトを指しており、ムスリム同胞団を指しているということだ。
アラブ首長国連邦では今年に入り、自国のイスラミスト60人が逮捕されている。もちろんアラブ首長国連邦では、ムスリム同胞団の活動は法律によって禁止されているのだ。
今回の外相のムスリム同胞団に対する警戒発言は、アラブ首長国連邦まではアラブの春革命の影響は及んでいないものの、将来的には国家の体制を揺るがす、危険性もあるとみているからであろう。
エジプトでは明確な形でムスリム同胞団が権力を握ったわけだが、そうなるとそのことに勇気づけられて、ムスリム同胞団員を抱えている国では、ムスリム同胞団員の活動が、活発化する危険性があろう。
今回のアラブ首長国連邦の外相の発言は、当然のことながら、同国のエジプトに対する経済支援が、今後あまり期待できなくなる、ということを意味しているのではないか。
アラブ首長国連邦と同様に、クウエイトやサウジアラビア、オマーンなども歩調をそろえていく可能性があろう。例外はカルダーウイ師という、ムスリム同胞団の大学者を抱え込んでいるカタールであろうが、同国も他の湾岸諸国がムスリム同胞団に対し、危険視していけば同様の措置を、採るのではないかと思われる。
ムスリム同胞団員からエジプトの大統領に就任したモルシー氏は、エジプトの経済改革が喫緊の政治課題であろうが、それが外国の援助が先細りする中では、厳しいものになっていくということであろう。