『シリアの攻撃でトルコと一触即発』

2012年10月 5日

 シリアから撃ち込まれたミサイルが、トルコのシリア国境の町に着弾し、5人のトルコ人が死亡するという事故が起こった。シリア政府は早急に、『間違いであり、攻撃意図はなかった。』とトルコ側に対し謝罪を入れている。

しかし、トルコ側はそうはいかないようで、議会がシリアに対する軍事攻撃の可否を討議し、ついに軍事力の行使を認める決議を出した。これに輪をかけるように、エルドアン首相はこれまでも砲撃があったし、決して事故ではなく、シリア側に攻撃意図があった、と非難している。

つまり、トルコ側はシリアに対する軍事行動を起こす、全ての条件がそろったということになる。しかし、戦争という事態に発展すれば、そのことは少なからぬ損失を、トルコ側にも生みだすことは必定だ。同時にエルドアン首相は、シリアと戦争する意思はない、とも言明してはいるが。

そこで、トルコはシリアの攻撃問題を、国連の場とNATO に持ち込むことによって、シリアに対し最大の圧力をかける意向のようだ。あるトルコ人に聞いたところ、これまでもシリア側の砲弾が、何度となくトルコ側に着弾していたし,トルコ側も同様にシリア側を攻撃していた、ということのようだ。

ただ今回の場合は、トルコ側に5人の死者を出したことから、エルドアン首相が過剰な反応を示さざるを得なかったことが、事態を大きくしたのだろうということだ。

ロシアはトルコとシリアに対し、事態の改善と解決を目的とし、対話のチャンネルを開くべきだと呼びかけているし、この問題に関連してであろうか、イランからは第一副大統領が緊急に、トルコを訪問している。

NATOもトルコをけしかけることはあっても、実際に戦争まで起こしたい、とは考えていないのではないか。そうだとすれば緊張は高まったものの、これ以上危険な状況に、は至らないのではないか