トルコの景気は順調だという話は、既にご報告した通りだ。トルコ人が楽観的だということもあるが、大筋ではその通りであろう。問題は、トルコをリードする、与党AKP内部はどうなっているかということだ。
中東地域のスーパー・スターになったエルドアン首相は、その地位に満足せず、アメリカの大統領のような実権を持った大統領になりたい、と考え始めている。そのためには、憲法を改正しなければならないが、与党内部では憲法改正に、反対の意見が少なくない。
トルコ国民の間でも、大統領が全ての権限を持つのは、トルコの民主主義の将来にとって、危険だという考えもあり、反対者が少なくないようだ。
そこで、誰がエルドアン首相に憲法改正と、大統領就任を控えるように、助言できるかということになる。
最近、エルドアン首相はトルコのイスラム主義組織のリーダーに、電話で相談を持ちかけたという、情報が伝わってきた。もちろん、その電話会談の内容は表面的には、一般的話題であったということになっているが、実は相当混み入った話をしたのではないか、とい憶測が流れている。
それは、エルドアン首相とこの組織のリーダーとの電話会談が、30分にも及んだからだ。つまり、組織のリーダーの助言を、エルドアン首相がある程度受け入れたのではないか、ということのようだ。
組織のリーダーは憲法改正を断念させるように、説得したのではないかといわれている。同時に、エルドアン首相に対し、一定の立場を保証する内容の話を、このイスラム組織のリーダーが、したのではないかと言われている。
トルコはいま経済の順調な動きとは裏腹に、イラン、イラク、シリアとの間で問題を抱えているし、アルメニアやギリシャとの間にも、古くて長い問題が、横たわり続けてきている。
エルドアン首相の負けん気の強気な外交政策は、何時これらの国々との間で、軍事衝突を起こすか分からない。それは、一瞬にしてトルコの国際的な信用と、経済の発展を潰してしまおう。
それだけにイスラム主義組織のリーダーの、エルドアン首相に対する説得の結果が待ち遠しい。