9月23日からエジプトのカイロを訪問した。荷物を開いてシャワーを浴びていると、電話が鳴った。親しい友人がロビーで、待っているとのことだ。彼はカタールのドーハにいるはずなのに、何故いまカイロにとうれしい気持ちになった。
彼の名はザカリアで55歳、インテリだがどうも武士の商法か、金儲けには向かないらしい。それでも彼の才能が助けて、生活に困っているわけではない。結構地道な慈善活動をしている。例えばカタールに出稼ぎに行っている彼の仲間から金を集め、カイロでモスクや学校を建て、加えて生活に困っている人のための、炊き出しなどもやっている。
彼が今回語ってくれたのは、シリアの海底ガスの話だった。地中海に面しているシリアには、海底ガスが膨大な量あるというのだ。そのために、欧米がシリアの革命を、支援していると語っていた。
この話はまんざら嘘ではあるまい。以前、イスラエルが地中海に面した領海地区を、膨大なガスがあるとしてレバノンの領海まで、自国の領海を拡大して、掘削する動きに出ている。
つまり、地中海の海底ガスはレバノンからシリアにかけての方が、多く埋蔵されているということではないか。そして、トルコとキプロスの間にも、海底ガスはあると発表されている。もちろん、ガスはガザ沖の海底にも、埋蔵されているのだ。
極めて単純な判断になるが、それならば欧米がシリアの反体制派を支援し、アフガニスタンやリビアなどから義勇兵(ギャング)を送り込んでも、何の不思議も無いということになる。
ご存知の通り、ヨーロッパのジャーナリストたちや、国境なき医師団のメンバーは、シリアの内戦で負傷を負っている、反政府派の戦闘員の半数以上が、外国人だと報告している。彼らは虐殺やレイプを、シリアでやりたい放題やっている、という報告もある。
以前、私はシリア内戦が勃発したのは、中央アジアやイラン、イラクや湾岸諸国の石油ガスを、シリア経由で欧米に送るために、パイプライン・ルートを確保することが目的だと述べてきた。
いまでもその仮説は、間違っていないと思っている。そうしなければ、トルコがエネルギーの輸送の中心になり、それはヨーロッパ諸国にとって、極めて不愉快な状況になるからだ。
今回カイロで聞いてきた話は、事実ではないか。そのことは、いまだにガスや石油が、世界のイニシャチブを握る上で、決定的な要素になっていることを示している。石化エネルギー依存の時代は終わった、というのは空絵事でしかないということだ。