『内外共に芳しくないモルシー政権』

2012年9月21日

 エジプトのムスリム同胞団員であるモルシー氏が、大統領に就任してからそろそろ100日という、蜜月が終わろうとしている。その間に彼は何を国民に、応えたのだろうか。

最近になっても、どうも芳しい情報は伝わってこない。彼が就任後最初に行った中国訪問は、どれだけの成果を挙げたのであろうか。口約束の企業進出や資金援助は、実行されなければ絵に描いた餅だ。

湾岸諸国歴訪も同じであろう。ある程度の援助は手に入れたものの、これも期待しただけの援助を、取り付けてはいない。結局のところモルシー大統領は、くたびれ儲けだったのであろうか。

IMFからの借り入れを48億ドルにする、と言い出しているが、これは11パーセントの利子と、数種の条件が付いていること、そして4年後には返済という、厳しい条件付きであり、エジプト国内では評判がよくない。第一、利子が付く借り入れは、イスラム法を遵守するムスリム同胞団政権の、やることではないだろう。

そうしたこともあってか、エジプト・ポンドは下落し続けている。以前は1ドルに対して5~55エジプト・ポンドだったものが、最近では6ポンドに達し、近い将来、7ポンドを超えるのではないかといわれている。

それは、エジプトの暗い経済見通しが、影響しているのであろう。そうなれば、外国からの借入、外国企業の投資が減少し、輸入の決済が大変なことになろう。エジプト国民はパンが手に入らないということも、まんざら嘘ではなくなろう。

こうした国内状況を反映し、最近では野党側が元気づいてきている。大統領選挙で敗北したシャフィーク氏は、亡命先から新党の結成を宣言しているし、それ以外の世俗政党のアイマン・ヌール氏なども、新党を結成する動きを活発化させている。

元国会議員のなかには、現在のモルシー大統領体制の方が、ムバーラク体制よりも傲慢だ、とも批判しているし、ムスリム同胞団内部からも、モルシー大統領は何の相談もせずに、単独であらゆることを決定している、という非難が出ている。

モルシー大統領という人物は、あまり運がよくないのかもしれない、先日起こったアメリカ大使館襲撃事件では、対応を間違えたために、オバマ大統領から厳しい批判を受けている。

その挽回を願い、モルシー大統領はオバマ大統領との会談を、希望していたようだが、現段階では『NO』という冷たい返事が、返ってきているということだ。そうなると、アメリカ・エジプトの関係改善は、当分期待できないということであろう。