播国連事務総長はシリア問題が、軍事対立で解消することはありえないと語り、政治的な交渉でこそ解決すべきだ、という考えを披歴した。しかし、世界各国の対応は、それとは裏腹なようだ。
ロシアは西側諸国が大量の兵器を、シリアの反体制側に送りつけている、と非難しているし、西側諸国はイランがイラク経由で、大量の兵器と軍人をシリアに送り込んでいる、と非難している。
当事国であるシリア政府は、播国連事務総長の意見とは異なり、断固として外国(西側諸国)による、シリア問題への介入を、拒否する姿勢を保っている。それは、西側諸国による中東地域全体に対する、独裁的支配の一歩だ、とも語っている。
シリアの反体制派を支援しているカタールはと言えば、シリアのバッシャール・アサド大統領に対し、一日も早い降参を勧めている。それは、サウジアラビアも同じであろう、サウジアラビアもカタールと並んで、シリアの反体制側を、支援している国だからだ。
他方、そうした各国の意向とは全く別の動きが、シリアでは展開されている。それは義勇軍やジハーデストという名で、シリアの戦闘に参加している輩が、人質を取り、釈放の見返りとして巨額の身代金を、巻き上げることが容易であり、流行しているということだ。
シリアでは崇高な独裁者に対する戦いに加え、単に虐殺を好む異常者たちの、虐殺が自由に行える場所、あるいはレイプを、やりたい放題やれる場所、人質の身代金が取れる場所にも、変わっているのだ。
ロシアや西側諸国が非難を繰り返すように、シリアにイランや西側諸国から、大量の武器や資金が流れ込んでいるのであれば、ここ当分の間は、戦闘が激化することはあっても、沈静化することはありえまい。
やがてシリアにも秋が訪れ、そして冬が来よう。難民受け入れ諸国は難民に対する支援疲れが始まろう。そのことは難民と受け入れ国の人たちの間に、ちょっとしたトラブルから、殺し合いが起こることも十分にあり得よう。
そう考えると、一日でも早い事態の鎮静化をと望むのだが、それは希望でしかなさそうだ。時間の経過は解決への糸口を見出すのではなく、犠牲者の数を、増やしていくだけであろう。