『不安なサウジアラビアの近未来』

2012年9月19日

 サウジアラビアの20歳以下の人口は60パーセント、サウジアラビアの40%の人口は貧困層、サウジの人口の70パーセントは自宅を持てない、サウジの労働人口の90パーセントは外国人、サウジアラビアの20~24歳は40%が無職、サウジア選びあの女性は能力があっても就職できない。

これらはつい最近、アメリカのジャーナリストが羅列した、サウジアラビアの実情だ。この現状は他方でサウジアラビア王家の後継問題に、影響を与えてくるということであろう。

アブドッラー国王は1カ月ほど前に、サウジアラビアを離れたが、行き先を明かさなかった。当時国王はアラブのある国を訪問した後、アメリカに病気の治療に行ったのであろう、という噂が流れていた。

 90歳に近いアブドッラー国王は、以前から病気がちであり、何度となくアメリカで治療を受けていることから、あるいは今回の外国行きが、最後ではないかという噂も流れていた。

そうなってくると、俄然サウジアラビア内外で話題になるのが後継者問題だ。現在のサルマン皇太子も76歳と高齢であり、しかも病気がちだと言われている。そうなると、もしアブドッラー国王が死亡した場合、皇太子が国王に就任することになるが、彼の王位もどこまで持ちこたえるか、分からないということになろう。

サウジアラビアの国王にはこれまで、初代のアブドルアジーズ国王の、実子たちが就任してきたが、彼らは皆高齢であり、第二世代だけでは回しきれなくなろう。そうなると、第三世代にという話が当然出てくることになるが、これは極めて難しい選択となろう。

アブドッラー国王が設定した、王位継承の諮問会議はあるが、彼が死亡した後に、それが機能するか否かは不明だ。そうなると王位継承をめぐって、これまでくすぶっていた、サウジアラビアの国内問題が、一気に表面に吹き出してくる可能性があろう。

サウジアラビア王家は今まで、石油収入、ワハビー派、王族という三つの要素で成り立ってきたが、ワハビー派の内部に分裂が起こっているし、石油収入はピークを過ぎ、国内消費の割合が増え、近い将来輸出不可能となるだろう、と石油業界では予測されている。

残る王族内部にも問題がある。王子たちは複数の妻を娶り、子供が増えているため、王子と呼ばれる人たちの数が、7000人を超えているというのだ。そのなかには高学歴と、見識を持つ者もいようし、現在の王制に不満を抱いている者もいよう。

そこから王室内部の争いが始まり、宮廷革命も起こる可能性があろう。王位継承がこれまでどおりでは、受け入れられなくなり、第三世代へのバトンタッチとなれば、新たな対立の芽が出てくるということだ。