インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、アメリカのオバマ大統領がどれだけエジプトのモルシー大統領に、怒っているのかを解説している。その記事を読むと、エジプトとモルシー大統領の将来が、極めて厳しいものであることが分かろう。
まず、オバマ大統領はリビアとエジプトで起こった、アメリカ大使館襲撃事件について、リビアとは異なり、死者は出していないがエジプトに対して、極めて厳しい見方をしている。
それは、デモが起こった後の対応と、モルシー大統領の発言内容による。モルシー大統領はイスラム教の預言者ムハンマドを冒涜する映画を非難し、デモ隊には平和的にやれといっているのだ。そして、アメリカに対する謝罪は大分経ってからはじめて口にしているのだ。
他方、リビアはベンガジの領事館で負傷したアメリカ外交官を、早急に病院に運び治療しているし、死亡したアメリカ大使の遺体は、早急にアメリカに引き渡しているのだ。
オバマ大統領にしてみれば、教育レベルも高く人口も多いエジプトに、モルシー大統領に対し適切な助言が出来る、常識ある人物はいなかったのか、ということになろう。
述べるまでも無く、エジプトはイスラエルに次いで、アメリカから高額の援助を与えられている国であるにも関わらず、いままで4度もアメリカ大使館が襲撃されているのだ。一体エジプトは外国の大使館の安全を、どう考えているのかということになる。
このことは、大統領選挙を控えたオバマ大統領にとって、極めて不愉快なことであろう。つまり、エジプトのモルシー大統領は、イスラエルの安全を保証する気が無いのではないか、ということになる。
エジプトとイスラエルとの間で交わしたキャンプ・デービッド合意も、何時まで継続出来るのか不安だ、ということになろう。モルシー大統領は就任早々に、キャンプ・デービッド合意は再検討の必要がある、と語っているのだ。
加えてオバマ大統領の逆鱗に触れたのはモルシー大統領が就任後最初に訪問した国が中国だったということだ。それは援助国としてのアメリカの面子を傷つけたことであろう。
そして極めつけはイランの非同盟首脳会議に出席したことだ。これはイランの国際的な立場を、強化することが目的だったのだ。モルシー大統領はイランの目的に協力したのだ。これではオバマ大統領が怒って当然であろう。