サウジアラビアに敵対す立場にあるイランからは、これまでもサウジアラビアの体制不安や、反体制の動きに関する情報が、何度と無く報じられてきている。そのような状況から発しられる情報なので、何処まで信頼性があるかについては断言できないのだが、そのような情報が出てきた以上は、いちおう把握しておく必要があろう。
イランのプレス・テレビというネットが報じたところによれば、サウジアラビアにスンニー派の反体制戦闘組織が、誕生したということだ。その組織の名前はバタル・アルウバイリスで、戦闘を専門に展開する集団だということだ。
つまり穏やかな政治経済社会の条件闘争などではなく、武力でサウジアラビアの現体制を打倒することを、目的とした集団だということだ。
このバタル。アルウバイリス組織のメンバーは、サウジアラビア国家が国民の要望に全く応えていないとし、生命を賭して体制に挑戦すると主張している。つまり、特攻攻撃をも含む闘争方針を立てており、その戦闘方針を宣言しているのだ。
特攻攻撃といえば、車に爆弾を搭載した車を、自身が運転して目標に近づき、自爆テロを行うことを言う。イラクではこの闘争方式で、これまでに何万人という人たちが、犠牲になっているのだ。
このバタル・アルウバイリス組織は、国民と宗教の敵を打倒する、とも宣言している。
サウジアラビアはこれと似たようなグループによる、体制への挑戦が1979年に起こっている。それは、オタイビという名の青年を中心とし、彼をマハデイ(救世主)とあがめるメンバーが、サウジアラビア政府の支配するイスラムの聖地メッカを占拠し、そこに立てこもってサウジアラビア軍と、戦闘を展開するというものだった。
このオタイビ一派の抵抗に対し、サウジアラビア軍は対応に苦慮し、最終的にはフランスの特殊部隊に、掃討作戦を依頼して、問題を解決したという経緯がある。
今回、イランのプレス・テレビが報じた情報が、正しいものであるとすれば、サウジアラビアでも遂に反体制の、武力闘争が始まるということであろう。それは世界経済にも、大きな不安を抱かせるものになろう。従って、サウジアラビア国内の状況を、今後も注視し続ける必要がありそうだ。