以前からサウジアラビアの王家の、国王を含む人事では年功序列的なシステムになっていることが、問題視されてきた。この方式に従うと、高齢者が国王のポストに就任し、次いで皇太子そして閣僚となってしまうのだ。
その弊害がこのところ露骨に出てきている。国王の高齢が第一に問題だが、皇太子の高齢も同じ様に問題になっている。極端な言い方が許されるならば、国王が死去し皇太子が格上げで国王に就任しても、間も無く新国王が死亡することが、十分に起こりうるからだ。
今回もアブドッラー国王が8月末に出国したが、その後今日まで、行き先は公表されていない。多分病気治療が目的で、アメリカに行ったのではないか、と推測されている。そのことは、アブドッラー国王が健康を回復して帰国するという保証がない、ということでもあろう。
アブドッラー国王がサウジアラビアから出国した後、幾つもの推測記事が書かれているし、危険な兆候も見え隠れしている。述べるまでも無く、その筆頭格はサウジアラビア東部海岸地区にある、アルカテイーフ市の反政府運動だ。
国内の民主化運動、制度改革要求運動で始まったこのデモは、次第に王家に対する、挑戦的なものに変革してきている。
アブドッラー国王の留守を預かるサルマン皇太子は、あまり評判が良くないようだ。サウジアラビアのサウード・ファイサル外相は病弱だといわれている。それはサウジアラビア王家の高官が皆、高齢であることに起因していよう。
王国の権力が不安定化すれば、決まって出てくるのは、内部のごたごただ。しかもそれは権力と仕事と金にまつわる問題だ。サウジアラビアの宗教学者で著名なムジュウタヒド・ハマーム師が、彼のツイッターで書いたところによれば、二人のサウジの高官が、ビジネスと金で対立しているということだ。
そのことが外部に漏れ、しかもムジュタヒド・ハマーム師によって明かされたということは、今後のサウド王家の内部混乱を予測させよう。こうした問題は、王家内部で隠しており、それを部外者が知り公表した場合、然るべき圧力がかかって当然であろう。
ムジュタヒド・ハマーム師の場合は、それが起こっていないということは、然るべき王家の大物が、彼を擁護しているからではないのか。そうした王家の人物が存在するということは、今後ますますこの手の情報が、漏れてくるということではないか。サウジアラビアではいまガソリン不足という事態が、首都リヤドの近くで起こっている。これも政府のタガがゆるんだ結果であろうか。