エジプトのモルシー氏が大統領に就任した段階で、アメリカのオバマ大統領を真似てモルシー・メーターを掲げた。オバマ大統領は就任後500の案件を掲げ、それを就任後100日以内で実行する、と語ったようだ。
それが何処まで進んでいるのかを示すのが、オバマ・メーター(オバ・メーター)だった。オバマ大統領はその後、実行を終えたもの、実行途上にあるもの、これから実行する予定のもの、というように区分けし、加えて優先順位を設けていたようだ。
さて、アメリカ帰りのモルシー大統領の場合、メーターはどうであろうか。オバマ大統領の真似をするのはいいが、公約が実施されないで、単なる真似で終わったのでは、かえって支持得率が下がろう。
モルシー大統領は就任に当たり、エジプト国民に対して64の項目を、早急に実施すると約束した。そして、就任以来61日が過ぎた現在、公約が実施されたのは3項目に過ぎない。それらは『警察に対する褒賞』『交通を阻害するものの撤去』『国土を綺麗にする運動』だ。
残された日数は39日間だが、これからモルシー大統領は残りの61項目の公約を、どう処理して行くつもりなのだろうか。
残っている公約で喫緊の問題は、交通改善、治安の回復、燃料問題、環境回復、といった課題のようだ。なかでも犯罪取締りと防止は重要課題であろう。これが整わなくては、エジプトの最大の外貨収入源の一つである、観光産業が動かないからだ。
燃料問題の解決もしかりであろう。車用のガソリン、ディーゼル・オイルの販売、そして家庭やレストランで使われる、ブタン・ガスの供給の改善だ。ブタン・ガスの場合はガス・ボンベの増産も必要であろう。
ガソリンの場合は、ガソリン・スタンドの従業員の不正や、賄賂による販売の制限があるし、外国への安価な密輸も活発だ。こうしたことを取り締まる必要があるのだ。
そして決定的に重要な問題は、パンの生産と支給であろう。粗末な食事しか摂れない、エジプトの貧民層の人たちにとっては、パンは主食であり、お菓子であり、肉でもあるのだ。
モルシー大統領はパン焼き工場への支援と、従業員の待遇改善に、力を入れ始めているようだ。モルシー大統領は大衆の胃袋が膨らんでいるうちは、反政府の大衆蜂起はないということを、良く知っているのだろうか。