エジプトの軍情報部から、とんでもない情報が飛び出してきた。8月5日に起こったイスラム・テロリストによる軍人襲撃事件は、16人のエジプト軍人を殺害したが、その犯人はモルシー大統領の恩赦によって出獄し、45日目に犯行に及んでいたというのだ。
彼ら襲撃犯のうち、死亡した5人について医学的検査した結果、3人がエジプト人であり、残りの2人はラファ出身の、パレスチナ人であることが分かった。彼らはタクフィールのメンバーであり、刑務所に入れられていたが、モルシー大統領が恩赦で、出獄を許していたというのだ。
このシナイ半島の軍人16人が殺された事件では、軍の幹部が責任を問われ、タンターウイ国防大臣、サーミ―・アナン統幕議長が辞任させられている。その後、一連のモルシー大統領による、権力掌握劇が展開されて、今日に至っている。
さて、今回のこの情報がこれから先、どのような展開をエジプト政治の舞台に、生むのであろうか。軍のなかには、過激なイスラミストを恩赦で出獄させたのは、モルシー大統領の判断に基づくものであったことから、責任を問う動きが出てくるかもしれない。
また、一般大衆の間には、ムスリム同胞団の持つ凶暴性を、口にし始める者が、出てくるかもしれない。すでに、モルシー大統領が選出したアドバイザー・グループは、ムスリム同胞団の独占だとする批判や、地方でも県庁の幹部職や、議会でもムスリム同胞団が、議席を独占する傾向があるという、非難も出始めている。
モルシー大統領とエジプト国民のハネムーンは、100日と言われているが、既に2カ月が過ぎた。モルシー・メーター(モルシー大統領の実績を図るメーター)は限りなくゼロに近い。エジプト国民はハネムーンの後で、モルシー大統領に対する批判を、強めるのだろうか。