『悪循環となった各国のテロ支援』

2012年8月 9日

 いまに始まったことではないが、国家対国家の直接的な武力衝突を避けるために、これまで支援組織を使った代理戦争が、世界中で展開されてきた。それが初歩的な段階であれば、口頭での非難合戦に毛が生えた程度であり、ある種のガス抜き効果があったと言えよう。

 しかし、最近ではガス抜きではなく、ガス爆発になってきているのではないか。代理戦争のレベルが拡大し、その代理戦争を仕掛けている国同士を、直接戦争に引き込むどう導引剤になりつつあるようだ。

 イランとトルコの関係が最近緊張してきているし、イラクとトルコとの関係も相当緊張してきている。それは非難合戦の段階にあるが、何時でも拡大しそうな雰囲気だ。

 シリアとトルコとの関係では述べるまでもなく、トルコが反シリア政府側に便宜供与(サウジアラビアやカタール、イスラエル、アメリカなどの反シリア政府派に対する、資金や武器の供与)をしており、シリア政府は本気で憎しみを強めている。

 そうした流れを見ていて気がつくことは、それらのいずれの国も、これまでのような資金提供や、武器の提供だけではなく、それから一歩踏み込んだ形の、自国が敵視している国に送り込む、テロリスト・グループに対する訓練を行う、訓練基地を開いていることだ。

その訓練基地で十分な訓練を積み、潤沢な資金を受け取り、武器も提供されて、これらのテロリストたちは戦闘を、展開するようになったのだ。こうなると、もうテロリストのレベルを超え、戦闘能力において正規の軍人と、あまり遜色なくなってきているのではないか。

それらのテロリストたちは、例えば地場のテロリストであるPKK(反トルコ・クルドグル―プ)や、PJAK(反イラン・クルドグループ )とは別枠で、行動しているのだ。その最も知られた組織がアルカーイダであろう。

アルカーイダが北アフリカから中東、西アジア地域で活動しているのは、フランチャイズのようなものだろうと見ている。彼らはそれぞれ、独自の組織ではあるが、アルカーイダという著名なブランドの下で活動しているのであろう。

もちろん、それらの組織は相互の便宜供与や、情報交換、戦闘員の相互供与もあろう。結果的に、アルカーイダと名乗るテロリスト・グループは、世界中で活動が可能となるのだ。

加えてこれらの組織を使い、自国の目的を果たそうとする国も、多数出てきているのではないか。しかし、それは度を高めていった末には、結果的に自殺行為につながる、危険なものではないのか。