『シナイ・テロをモサドだというムスリム同胞団の言い逃れ』

2012年8月 7日

 8月5日にエジプトのシナイ半島で起こった、テロリストによるエジプト軍兵士に対する攻撃は、複雑な状況をエジプ政府とガザのハマース、イスラエルに生みだしている。

 エジプトのムスリム同胞団とガザのハマースは、このテロ事件の後ろに、イスラエルのモサドがいると非難した。しかし、それはあまりにも荒唐無稽な、話ではないか。

彼らに言わせれば、エジプトとパレスチナのハマース組織を、分断対立させるために、イスラエルが工作したものだというのだ。では一体実行犯は誰の監督下にあったのかということになり、それがイスラエルのモサドだとするには、無理があるのではないか。

エジプト軍の説明では、テロリストがガザとエジプトを繋ぐ、秘密のトンネルを通って、シナイ側に出て犯行に及んだという説明をしている。もちろん、シナイ半島に居住するベドウインや、テロリストが参加しての犯行だった。

ここで問題になるのは、ガザはエジプトのムスリム同胞団と兄弟関係にある、ガザのムスリム同胞団が結成したハマースが、コントロールしている地区だ。そこから秘密のトンネルを通って、シナイ半島で犯行に及んだとなると、ハマースには応分の責任が、発生することになる。

エジプトのモルシー大統領は、できるだけ穏健な方法でシナイ半島の安全を、確保する考えのようだがそうはいくまい。シナイ半島は無法地帯のような状態にあり、外部からテロリストたちが入りやすく、しかも行動しやすいのだ。一部報道では、アルカーイダのメンバーが相当数、既にシナイ半島に入り込んで、基地を設置したということだ。

モルシー大統領は事件の真実を既に報告されていよう。しかし、ムスリム同胞団のメンバーのなかには、ハマースと敵対する関係を生み出したくない、と考える輩が多いことから、モルシー大統領は事件への正しい対応を、躊躇しているのではないか。

シナイ半島ではアルカーイダばかりか、その他のジハーデスト、イスラム・テロリストたちが、激増しているという情報がある。彼らにしてみれば、シナイ半島はイスラムの敵、イスラエルへの攻撃の入り口なのだ。

したがってジハーデストたちはあらゆる手段を講じて、シナイ半島を彼らの解放区の状態に置きたいと考えよう。もし、モルシー大統領がこの事態への対応を誤れば、エジプトは経済再建の基本である、治安の確保ができず、混乱がますます拡大していくことになろう。