『モルシー大統領IMFに借金申し込み』

2012年8月23日

 つい最近、エジプトのモルシー大統領は、湾岸諸国を歴訪した。述べるまでもなく、それは借金の申し入れと、エジプトへの投資の誘いこみであった。しかし、それは彼が考えたような結果には、ならなかったのであろう。

湾岸諸国がモルシー大統領に応えたのは、何がしかの金を貸すことと、投資の約束だった。しかし、投資はエジプト国内の条件が、整ってからということになるのは、極めて常識的な判断であろう。治安状況の悪い国に、投資する投資家も、国家もあるまい。

そこでモルシー大統領が考えたのは、IMFからの借り入れだった。それなしには、エジプトは外貨準備額が払底し、国家財政が成り立たなく、なってしまうからだ。モルシー大統領は48億ドルの借り入れ申し込みを、エジプトを訪問した、ラガルデ女史に行った。

ラガルデ女史はエジプト側の借金申し入れを、基本的には受け入れたが、それは条件付きだった、年利1・1パーセントの金利で、5年間で返済するという厳しいものだった。

エジプト政府は資金難であることから、何の条件交渉もせずに、IMF 側の条件を受け入れたのであろう。何としてもこの年末までに、48億ドルを手に入れたいようだ。

しかし、野党のメンバーの反応は、政府とは異なっていた。『IMFの言いなりになり、IMFにエジプトの経済を、牛耳らせるつもりか。マレーシアは金融危機を、国内の努力で切り抜けたではないか。』と厳しく政府を非難している。

そもそも、今回エジプト政府が言い出した、48億ドルという借り入れ希望金額は、何処から来たものであろうか。エジプトがIMFに持っている、通常の借入限度額は15億ドルだというから、その3倍もの額になったのだ。

そもそも、エジプトが外貨準備高を激減させたのは、観光収入が大幅に落ち込んだからだ。エジプト国内の危険さが、外国から観光客の訪問に、ブレーキをかけているのだ。

エジプトは国際的な債務額が338億ドルあり、国内での債務も1930億ドルあるということだ。そして、エジプイト国民の40%が、いま貧困ライン以下で生活しているのだ。

ラガルデ女史はエジプト側の申し出を、一旦IMFに持ち帰り、検討した後再度エジプトを訪問し、エジプト側と2度目の交渉を、することになっている。モルシー大統領は何とか金融危機から抜け出すベく、9月に予定されている国連会議参加の折に、アメリカ政府側と交渉したい、と考えているようだ。