このところ、イギリスの報道がサウジアラビアの王制に対する、批判記事を増やす傾向になってきている。例えば、7月29日のBBCは『サウジアラビアのアルカテイーフ地区の住民が逮捕に抗議デモ』といった具合だ。
これ以外にも、昨年には『サウジ東部で衝突』『何故サウジの統治者たちは警戒するのか』『サウジのシーア抵抗者射殺される』『サウジ宗派対立高まる』『といった具合だ。
今年に入ってからも『サウジ暴動で9人逮捕』『新たな衝突で一人死亡』『サウジの抵抗運動で二人死亡』という報道がなされている。
サウジアラビアの王制不安については敵対国であるイランが詳しい。イランはこれまでも、サウジアラビアの東部アルカテイーフ地区で、繰り返されてきているデモについて、詳しく報道してきている。
イランの報道を見ていると、サウジアラビア内部の状況が、次第に危険水域に、近づいていることを感じさせる。その根拠は、サウジアラビア東部のアルカテイーフ地区の抗議デモに対する、サウジアラビア軍や警察による、実弾発砲でデモ参加者のなかに、死傷者が出ていることだ。
サウジアラビアの紅海沿岸最大の港町、ジェッダでは、内務省前で抗議デモが行われているからだ。加えてサウジアラビアの各都市で、小規模なデモが行われるように、なってきているということだ。
イランの専門家によれば、これらの一般的な政府に対する抗議デモに加え、サウジアラビア王室内部の、王族のメンバーの間で地位格差が、歴然としてきており、王室内部の分裂が始まっていることが、最も危険な要素ということだ。
例えば、最近報じられたプリンセス・バースマによる。政府抗議はその典型であろう、し、古くからはルージュ・プリンス(共産主義者の王子)と呼ばれる、王制反対の立場を明確にしている、異端派のタラール王子もいる。
この専門家によれば、今年のラマダン開けの8月19日以降に、サウジアラビアの各都市で、反政府行動が活発化するだろうということだ。
最近では、サウジアラビアがイスラエルにとって、最も信頼できるパートナーになっている、という報道もなされたし、シリアの内戦では、サウジアラビアはあからさまに反政府派に対する、梃子入れを行ってもいる。
サウジアラビア政府のこうした動きは、内部不安によるのではなかろうか。いずれにしろ、サウジアラビアは日本にとって、最も重要なエネルギーの輸出国であり、サウジアラビア国内で過激な変化が、起きないことを期待するのだが。