エジプトのモルシー大統領と言えば、ガリガリのイスラム原理主義者、ムスリム同胞団の出身なのだから、そう言われても不思議はない。イスラム原理主義者は総じて、反ユダヤであり、反シオニズムであり、反イスラエルなのだが?
最近、ツイッターで話題になっている映像がある。それは通常のインターネットを通じても紹介されているものだが、実に意味が深いようなのだ。
ある午後であろうか、どこかの海岸で小さな男の子と、そのお姉ちゃんであろうか、二人の子供が砂遊びをしているのだが、何かを造っている。完成すると二人の子供は、新聞を読んでいるお父さんの所に行って、見て見てとせがむのだ。
お父さんがそれを見に行くと、砂で造られたものは、ソロモンの神殿の形なのだ。お父さんはびっくりして、小脇に抱えていた新聞を落とす。するとその新聞には、エジプトのモルシー大統領の写真が、掲載されているというものだ。
他愛のない短い映像なのだが、これがいま爆発的に見られているということは、ムスリム同胞団に対する不信感が、根強くアラブ世界には広がっているということであろう。
エジプトのナセル大統領の大弾圧を受けた、ムスリム同胞団員の多くがイギリスに亡命し、湾岸諸国に逃れたが、以来,ムスリム同胞団はイギリスの操り人形だ、と噂されてきていた。
今回、モルシー氏が大統領に就任するに際しても、アメリカ政府がエジプトの軍最高評議会に圧力をかけ、当選発表を即したとも言われている。つまり、ムスリム同胞団はアメリカやイギリスのエージェントであり、モルシー大統領は今後両国の国益に沿って、行動するという皮肉であろうか。
その皮肉は、ダヴィデ王の子ソロモン大王の建設した、ソロモン神殿の再建に、モルシー大統領が関与している、という噂を広げることにより、イメージが何倍にも強化されよう。
ソロモンの神殿の再建は、イスラエルのネタニヤフ父子の念願だが、神殿が建設される場合には、イスラム教のアクサ・モスクが破壊されることが、前提になっているのだ。ソロモン神殿はアクサ・モスクと、同じ場所に建設されていたからだ。
そのことは、イスラム世界の人たちにとっては、許し難い暴挙であろう。ツイッターやフェイスブック、そして映像を通じた反ムスリム同胞団のキャンペーンのレベルが、極めて高くなっているということであろうか。