シリアで政府の3人の要人が暗殺されたことが、世界中で大ニュースになって流れている。この暗殺テロはシリア政府の弱体化の証明だ、という意見も多数出ている。
無理もなかろう、暗殺されたのはバッシャール・アサド大統領の義理の兄弟アーセフ・シャウカト国防副大臣、ダウード・ラージヒ国防大臣、ハッサン・トルコマーニ副大統領補佐官なのだから。
しかし、トルコで聞いた暗殺事件に対する意見は、全く別のものだった。然るべき人物から聞いた話であり、一概には疑えない節があるので、ご紹介しておくことにした。
バッシャール・アサド大統領の義兄弟アーセフ・シャウカト氏を含む、暗殺された政府要人の3人は、実は暗殺テロが起こったとされる前に、毒殺されていたというのだ。それが暗殺の形で公表されたということだ。
このことをもって、シリア政府は反政府派を非難し、反政府派は自分たちがやったのだと宣伝する。つまり、双方にとって都合のいい暗殺事件だった、ということだ。
この情報をもたらしてくれた人物によれば、暗殺された3人の要人たちは、反バッシャール・アサド大統領の動きに出始め、それが露見して殺されていたというのだ。つまり、この事件は反政府派による暗殺ではなく、政府内部で起こった粛清だったということのようだ。
この3人の要人の葬儀には、シャラフ副大統領は出席したものの、バッシャール・アサド大統領は出席していない。彼の実弟であるマーヘル・アサド氏も、葬儀を欠席しているようだ。
もし暗殺された3人が、反アサドで動いていたのであれば、バッシャール・アサド大統領の葬儀欠席は、当然ということであろう。シャラフ副大統領が葬儀に出席したのは、反政府派によるテロであったことを、信じ込ませるためではなかったのか。
この要人に対するテロ事件をもって、バッシャール・アサド体制の弱体化と亡命説が、信憑性を持って語られ始めているが、真実はどうも逆なようだ。反政府派の暴虐振りをアサド体制側は宣伝し、それに対する応分の報復をするということであろうか。
真実はどうなのか分からない。しかし、現在のような複雑な状況下では、あらゆる可能性を考えてみる必要があろうし、あらゆる情報を細かく、分析してみる必要があろう。