数日前に、アメリカ内部でシリアの体制を、あと2年持たせるという話があったと書いた。それはアメリカがシリアの内戦を、あと2年長引かせて、シリア人同士に殺し合いをさせる、ということではないかと書いた。
しかし、なぜあと2年なのかということに対する、答えが分らなかった。それが分ったのは、ヨルダン・タイムズ紙の報道によってだった。ヨルダン・タイムズ紙によれば、アサド大統領の任期は、2014年までだということだ。
ヨルダン・タイムズ紙は、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外相の、発言を取り上げている。同外相は『アサド大統領の任期はあと2年なのだから、任期を全うさせてから、民主的な選挙で新大統領を選べばいいだろう。』という考えのようだ。
アリー・アクバル。・サーレヒ―外相は『いかなる体制に、も永久ということはない。』とも語っているが、暗にアサド体制が終わることを、意味しているのであろう。他方、同外相は『外国がシリアの反体制派に、武器を提供したり、ミリシアを送り込むことも、止めるべきだ。』と語っている。
このニュースと時を同じくして、ロシアはシリアへの新たな武器供与を、停止すると発表した。つまり、各国はシリア問題への介入を止めよう、ということであろう。ロシアは自国がシリアへの武器供与を止めることで、他の国々にも同じことを、要求しているのではないか。
国連のアナン元事務総長は、イランがシリア問題解決に、参加するべきだ、と主張しているが、それはイランの外相発言と、関係があるのではないのか。つまり、アサド体制をあと2年維持し、その後はシリア国民の選択に、委ねるということだ。
いまの段階では既に、アメリカとロシア、イランが、今後のシリアのアサド体制の運命について、合意ができているのではないか、と思えてならない。
アメリカは新体制下でシリアを、湾岸イラン中央アジアからの、エネルギー輸送ルートとして確保する。ロシアは今後も、シリアのタルトース港を軍港として、使用が可能であるという保証を得る。
さてそれではこの秘密の取引で、イランは何を得るのであろうか。それは湾岸諸国へのコミットではないのか、バハレーン問題、サウジアラビアのシーア派問題と、イランの関心の高いテーマは湾岸に幾つでもある。イランはアメリカから、それらの幾つかの、イニシャチブを保証されたのではないのか。