エジプトの友人からメールが届いた。2カ月に2~3回連絡しあっているのだが、今回のメールはちょっと悲しい内容だった。いつものメールは、エジプト人らしく冗談が多いのだが、今回は少し様子が違った。
『明日政府は大統領決選投票結果を、発表することになっているが、いずれの結果が出ても不安だ。シャフィークが勝てば、エジプト国内は燃え上がるだろう。そしていろんなトラブルが起こるだろう。
もし、モルシーが勝ったら、それもまた大問題だろう。私たちはムスリム同胞団が、エジプトを支配することは望んでいない。
そんなんわけで、私もほかのエジプト人もいま、強いストレスを感じながら生活しているよ。
友人同士が大統領候補をめぐって、殴り合いになるのは、日常茶飯事になっている。』
このメールを送ってくれた友人は一般人であり、特に政治に強い関心を持っている人ではない。しかし、ムスリム同胞団の体制が出来上がることに、大きな不安を抱いている。そうであろう、ムスリム同胞団は外人観光客に対し、水着もアルコールもだめだ、と言い出しているのだから。
シャフィーク氏が選挙で勝った場合、ムスリム同胞団は何の根拠がなくても『軍最高評議会が介入したでっちあげだ。』と非難しよう。そのために早々とモルシー氏の当選を宣言し、エジプト国民にそれを定着させることを、狙ったのだから。
ムスリム同胞団のメンバーではない、世俗派の大衆のなかにも、シャフィーク氏がムバーラク体制最後の首相だったことを理由に、反対する者もいよう。つまりムスリム同胞団の作戦が、効を奏しているのだ。
友人はこの政治の話に加えて、次のようなことも書いてきた。『いまエジプトは大変な状況にあるよ。仕事は全くない、もちろん収入もない。そのうえ治安状態も最悪だ。でも生きていくさどんなことがあっても、、。ところで私の犬に命名してくれないか、、ハハハ。』
いまエジプトは最悪の状態にある、ということだろう。大衆の不満はそのことを原因に拡大し、大衆の不満が現状に対する、賢明な対応を考えさせなくなっている。落ちるところまで落ちなくては、立ち直りは始まらないのかもしれない。
そのような中で、ムバーラク氏の生死はあまり問題になっていないのかもしれない、生命維持装置が作動していることに、意味があるのだろうか?