以前に、イラン国内で微妙な変化が、始まっていることをお伝えした。そのなかで、アハマド・ネジャド大統領が次第に、権力を失いつつあることを指摘した。そしてそれは、アメリカを始めとする西側の経済制裁が、イラン国内の物価を吊り上げ、貧困層が生活苦に直面し始めたからだともお伝えした。
イランのインフレ率は最近になって、21・8パーセントを記録したと、イランのナーデラーン議員が議会で報告しているのだから、実態はそれよりも上がっているのであろう。
このことがイランの神権体制にとって、危険信号だと判断したハメネイ師は、アハマド・ネジャド大統領の向こう見ずな対外政策が、生み出した結果だと判断し、大統領に厳しい視線を向けるようになっていた。
そして起こったのが、議会でアハマド・ネジャド大統領を吊るし上げるという、イランの神権体制誕生以来、初めての出来事に繋がっていった。それだけハメネイ師は深刻に、現状を捉えていたのであろう。
アメリカを始めとする、西側世界との関係改善には、西側とのパイプを持つラフサンジャニ師の登場を、待たなければいけないようだ。同時に、アハマド・ネジャド大統領を降格させなければならない。それが議会でアハマド・ネジャド大統領吊るし上げの、真相だったのではないか。
実はラフサンジャニ師の浮上を伝えてくれたのは、イランに住むAさんだったが、彼が予想した通りの展開になっているので、その旨の感謝のメールを送ったところ、彼から新たな判断が送られてきた。
そのメールによれば、アハマド・ネジャド大統領がハメネイ師一派と、取引をしたのであろう、というものだった。つまり、アハマド・ネジャド大統領が来年からは、政治に顔を出さないと発言したのは、取引の結果だというのだ。
そしてその結果、ハメネイ師派はアハマド・ネジャド大統領を、追求しないことにする。そして、アハマド・ネジャド大統領は、権力内部の秘密を、一切口外しないという約束を、したのではないかというのだ。
ラフサンジャニ師がアハマド・ネジャド大統領の後を継いで、大統領に就任するのか、ラリジャニ師が就任するのか、あるいは別の人物なのかについてまでは、今の段階では分からない。しかし、ラフサンジャニ師が今後、応分の力を発揮する可能性が、高くなったということであろう。
イランと西側の核問題協議が続いており、多少西側のイランに対する対応に、柔軟さが見え始めているのは、そのためかもしれない。いずれにしろ、イランと西側諸国との緊張が、緩和することを望んで止まない。