『トルコでも問題が無いわけではない』

2012年6月18日

 トルコが中東諸国のなかにあって、例外的に好調に推移していることは、何度となくお伝えしてきた。しかし、トルコにも全く問題がないわけでもない。それは人間が行う政治なのだから、無理もないことだ。

中東世界のスーパースターであるエルドアン首相が、健康に問題を抱え始めて以来、既に数カ月が経過した。そのことが周囲に変化を、生み出しているようだ。側近たちや親族のなかには、将来への不安を感じている者もいるようだ。

そうなると、彼らがどのような行動に出るかは、想像が付こうというものだ。韓国では大統領の親族たちが、寄ってたかって権益をむさぼり、大統領から降りた途端に、その人物と側近たちの問題が、表面に出ることが何度もあった。トルコの場合もそれに近いようなことが、始まっているのかもしれない。

エルドアン首相も自分の健康に問題があると、どうしても性急になり、結論を急ぎたくなるのだろう。これは誰もがそうなのだ。先の長くない人や、健康に問題のある人は、せっかちになる傾向がある

その結果与党AKP(公正発展党)内部に、亀裂が生じてきているという情報が伝わってきた。

それを裏付けるような情報が、二つトルコから流れてきている。一つはギュル大統領が『選挙まではまだ十分に時間がある。』と語ったことだ。与党内部が話し合って、分裂などしないようにという、意味ではないかと思われる。

もう一つはエルドアン首相が、現在アメリカに亡命している、ファタハッラー・ギュレン師に対し、帰国を呼びかけたことだ。確かに現在では、トルコのなかのギュレン師やエルドアンに首相に敵対するグループは、ほぼ一掃されているため、帰国しても問題はなかろう。

しかしギュレン師は丁重に、そのエルドアン首相の申し入れを断っている。エルドアン首相の方は、ギュレン師の力を借りたかったのかもしれない。しかし、ギュレン師は自身の存在を、政争に利用されることを嫌ったのであろう。

トルコ内部、しかも与党内部のいざこざが早急に解決して、トルコがますますの発展していくことを祈る。