数日前に、サウジアラビアが危険水域に入ったことを書いたが、それが現実となった。6月16日サウジアラビア皇太子のナーイフ殿下の、死亡が報じられた。多分彼はそれ以前に、死亡していたものと思われる。
要人の死亡は葬儀の準備が出来るまでは、公表されないのが一般的だ。彼が王族の人たちや政府の要人と、スイスのジュネーブにある自宅で会っていた、という情報が流れていたが、それは葬儀をどう進めるかを、話し合っていたのではないか。
問題は、今後サウジアラビア内部に、皇太子の死亡がどう影響を、及ぼしていくかということだ。
以前にも書いたように、ナーイフ皇太子は79歳だった。アブドッラー国王は87歳であり、アブドッラー国王も病身だ。サウジアラビア国内が比較的安定した状態にあったのは、アブドッラー国王の人柄による、というのが一般的な評価だった。
アブドッラー国王にとっては、今回のナーイフ皇太子の死亡は、相当なショックであろうから、アブドッラー国王の健康に大きな影響が、及ぶことが考えられる。加えて、アブドッラー国王だけではなく、三番目の要人であるサウード・ファイサル外相も、病身だといわれている。
つまり、ナーイフ皇太子の死亡は、アブドッラー国王やサウード・ファイサル外相の、健康に影響を及ぼし、サウド王家は極めて不安定な状態に、なっていくことが予測される。
アラブの春革命の、サウジアラビア国民に与えた影響、国内の失業問題や民主化問題、アルカテイーフ地区問題と、サウジアラビアが抱える問題は、決して少なくないのだ。
ナーイフ皇太子の死亡は、シリア問題やイランに、好影響を与えるだろう。つまり、シリアの反政府派へのサウジアラビアの支援は、一時的に停滞する可能性がある。しかし、それは喜んでばかりはいられまい。戦闘状態が長期化するからだ。
イランは湾岸の最強の敵国である、サウジアラビアの国内が不安定化することは、イランが優位になるチャンスだ。バハレーン問題、サウジアラビアのアルカテイーフ問題に、これまでより積極的な対応を、してくるのではないか。
つまり、これからは湾岸諸国と同地域が、不安定化の度を増していく、ということでは無いのか。
今日は預言者ムハンマドがエルサレムから昇天しアッラーにあったといわれているミーラージュの日だ。サウジアラビア政府はそのような、宗教的に意味のある日を、ナーイフ皇太子の死亡発表の日に、当てたのかもしれない