サウジアラビアのサウド王家の内部で、革命の不安が広がっているという情報が流れてきた。
これまでサウジアラビアからは、アラビア半島東岸に位置する、アルカテイーフ地区のシーア派サウジアラビア国民による、デモが繰り返されていること、が報じられてきていた。そのことに加え、スンニー派国民のなかのインテリ層や女性の権利主張が、行われるようにもなってもいる。
これら一連の、サウジアラビア王国内の不安定な状況は、述べるまでもなく、アラブの春革命の影響であろう。湾岸最大の産油国であるサウジアラビアでも、民主化要求、富の公平な分配をめぐって、体制批判の意見が出てきている、ということだ。
そのことに加え、サウド王家内部に広がる革命の不安は、同国の皇太子であるナーイフ・ビン・アブドルアジーズ殿下の健康問題だ。皇太子の年齢は今年78歳とも79歳とも言われているが、いずれにしろ高齢だ。
現在、サウジアラビアのアブドッラー国王は、87歳と高齢であり、健康上も問題がある。もし、アブドッラー国王が死亡するようなことになれば、ナーイフ皇太子が国王に即位することになるが、その場合、一番問題なのは皇太子の健康であろう。
これまでナーイフ皇太子の健康状態は、あまり芳しくない、と報じられてきている。そして、ここにきてナーイフ皇太子が4月から、アメリカに渡り健康診断と、治療を受けていたことが明かされた。しかし、サウジアラビア政府はナーイフ皇太子の診断結果と、健康問題について、全く何事も明かしていない。
一時期は、ナーイフ皇太子の居場所が不明にさえなった。その後、スペインで療養しているという情報が流れ、最近になってやっと、スイスのジュネーブにある自宅で、王族の人たちや政府高官たちと、会っていることが明らかになった。
ナーイフ皇太子は高齢であり、ちょっとした健康管理上の問題が起これば、何時急病にかかるか分からない、不安があるのだ。そのことについて、マスコミが情報を流し始めたのは凶か吉カ、ナーイフ皇太子の後に、国家を背負って立てる人物が育っているのか、疑問は広がるばかりだ。
アブドッラー国王と並んでナーイフ皇太子が倒れ、その後にしかるべき後継者が育っていないとすれば、反体制派の活動が活発になり、体制は極めて不安定で危険なものになって行こう。いまサウジアラビアでは、そのことが話題になり始めているということだ。