『トルコのエネルギー事情』

2012年6月 9日

 

 トルコも日本と同じで、外国にエネルギー依存をしている国だ。そのため増えるエネルギー需要を満たし、出来るだけエネルギーのコストを下げようと思い、トルコ政府は原発の設立を希望している。

 トルコが日本の原発にこだわる理由は、地震国家であることから安全度の高い日本製を、と考えるのはもちろんだが、そのことに加えて、建設費用の借り入れ問題がある。

 韓国が売り込んで失敗した裏には、資金の供与が出来なかったからだといわれているが、日本が相手なら問題なく建設費用を貸してくれるからだ。

 いまトルコが抱えている問題は、他の非エネルギー産出国と共通している。石油価格の高騰が続いており、その輸入代金が異常に膨らんできていることが、同国の輸出入バランスを崩し、経済状態を悪化させかねない、危険性を抱えているのだ。

 そうした状況のなかで、トルコの財界人たちは何とかエネルギー・ビジネスに手を出して、トルコのエネルギー危機を緩和しようと考えている。話を聞いてみると、これまでに太陽光発電、風力発電、波発電、地熱発電なども検討課題になっていたが、そのなかで手っ取り早く採算が取れるのは、太陽光発電だろうということのようだった。

 確かに、いまでは日本だけではなく、韓国も中国も太陽光発電のパネルを生産しており、中国は安価攻勢をかけているようだ。それで始めれば安上がりであり、投下資金の回収が短期間で出来るということであろう。

 しかし、私が勧めたのはトルコが中東諸国で唯一、水資源が豊富であることから、水力発電を進めるべきだという考えだった。それに対し、トルコのビジネスマンが答えたのは、水力発電に手を出したのはいいのだが、完成までの資金が続かずに、中途で頓挫しているのが幾つかあるという話だった。

 もし、日本の業者が資金を提供してくれれば、それは日本側にとって安価な投資で済むから、あまり悪くは無い話だろうということだった。その種のビジネスに関心がある企業は、一度検討してみるに値するのではないかと思えた。

 中東諸国の中である程度の技術力を持ち、欧州諸国よりも確実に経済力を伸ばしているトルコが抱える危険性を、日本の企業が進出することによってサポート出来れば、それに越したことは無いと思える話だった。