『世界中でイスラエルの評判が悪化』

2012年5月18日

 イギリスのBBC放送局が、世界中で24090人を対象に、イスラエルに対する評価を調べた。それによれば、イスラエルは世界中で最も評判の悪い国、という烙印を押されたようだ。

そのなかで私が意外だと思ったのは、イラン人の間では反イスラエルが、55パーセント、パキスタンでは51パーセントに留まっている点だ。両国ともにイスラム国家であり、エルサレム問題やパレスチナ人に対するイスラエル政府の対応などから、もっと反対の割合が高いのではないかと思っていたからだ。

イスラエルに対して好意を寄せている国は、アメリカを筆頭にナイジェリアとケニアが並んでいる。アメリカではイスラエルにイエスと答えた人の割合が50パーセント、ノーと答えたのは35パーセントとなっている。

ヨーロッパでは相対的に悪くなっている国が多いが、ドイツとイギリスはネガテイブな反応が多いが安定している。つまり反イスラエルの割合に変化はないということだ。フランスの場合は65パーセントンの人たちが、イスラエルに対してノーと回答している。

つまりことさらに反イスラエルが、増加してはいないということだ。しかし、反イスラエルの割合はドイツが69パーセント、イギリスでは68パーセントとなっている

アングロサクソンの国家であるカナダやオーストラリアでは、反イスラエルの割合が増加している。これは多分にイギリスの影響によるのではないか。また経済の悪化もその一因であろう。カナダでは反イスラエルの割合は59パーセント、オーストラリアでは65パーセントとなっている。

アラブ諸国は押し並べて、反イスラエル感情を抱いているわけだが、その代表国家であるエジプトの場合は、反イスラエルが85パーセント、親イスラエルの割合は7パーセントに留まっている。

アジア諸国を見てみると、韓国は反イスラエルの割合が69パーセントと意外に高い。インドネシアも同様に反イスラエルの割合は、61パーセントと高い数値を示している。

それでは日本はどうなのであろうか、日ユ同祖論などといったことが、語られているにもかかわらず、日本の反イスラエルの割合は、45パーセントと意外に高い。

かつてユダヤ人に弾圧を加え追放した、スペインの場合は興味深い結果が出ている。反イスラエルの割合が74パーセントと、ヨーロッパ諸国の中にあって。最も高い数値を示している。

イスラエルはこのBBCの調査結果に、驚いたのではないか。イスラエルのエルサレムポスト紙は『世界中がイスラエルに対しネガテイブな見方』というタイトルで、このことを伝えていることからも分ろう。

こうしたイスラエルに関する、世界的な規模での世論調査の結果は、ますますイスラエルと世界のユダヤ人に、マサダ・コンプレックスを思い起こさせるのではないか。その結果として、イスラエルは過激になっていくのではなく、穏当な判断を下し、対外関係を構築していくことを、望んでやまない。

あるいは以前ご紹介した『シオニズムの賞味期限が終わった』という内容のイスラエルの記事は、イスラエルが世界に融和していかなければならないという、冷静なイスラエル人による判断に、基づくものなのかもしれない。そうあって欲しいものだ。