『シリアはアフガニスタンのケースと同じか』

2012年5月15日

        

       アフガニスタンという何の魅力も無い国に、アメリカは10年にも渡って軍を駐留させ続けている。その費用たるや馬鹿にならない巨額であろう。加えて、カルザイ体制というギャングのような体制を、支援しているのだから、相当の金が浪費されていることであろう。

アメリカがアフガニスタンに、これだけ長期にわたって駐留し続けている理由を、知っている日本人は少ないだろう。それどころか、巨額の出費と人的資源を、無駄にしているアメリカ国民ですら、その目的を知らないままに、過ごしてきたのではないか。

駐留の真の目的は、アメリカ政府が声高に唱えた、テロとの戦争ではない。実はアメリカが軍をアフガニスタンに送った理由は、中央アジアのエネルギーの輸送経路として、アフガニスタンを支配することを、目論んだからだった。

一説には、アメリカのユノカル社が中央アジアのエネルギーを、アフガニスタン経由でインド洋ヌ運ぶため、パイプラインの敷設をアフガニスタンの、タリバン政府と交渉していたが、失敗したために、このタリバン政府を打倒することになったのが、そもそもの原因だったと言われている。

シリアもすでに書いたとおり、地下資源に恵まれた国ではないようだ。それにもかかわらず、アメリカが真剣にアサド政権の打倒を検討しているのは、アフガニスタンと同様に、エネルギーの輸送経路としての、価値からではないか。

中央アジア、イラン、イラク、湾岸諸国のガス石油が、シリアを経由すれば欧米の市場に、極めて近くなるばかりか、ヨーロッパの嫌うトルコを、唯一のエネルギー輸送経路としなくても済むのだ。

そのためにアメリカが考えたのが、シリア内戦だったのではないか。アメリカは直接手を出してはいないが、アメリカに近いサウジアラビアやカタールがスポンサーとなり、トルコを経由して、武器が反体制派に届けられている。

そのことは、シリアの内戦が長期に及ぶことを、想定させるのではないか。加えて、ロシアが伝えたところによれば、外国が支援しシリアの反体制派コマンドが、コソボで軍事訓練を受けているということだ。

コソボの地形はシリアに似ていることもあり、コソボ革命の闘士の訓練場で、シリアの反体制コマンドたちが、訓練を受けているという話だ。

したがって、アメリカはアフガニスタンの経験と、アラブの春革命の経験を通じて得たノウハウを使って、シリア対応を進めているということではないか。それはアメリカ国民の血を流さず、さしたる資金も使わずに目的を達成させるという方法だ。しかし、これにも問題がないわけではない。アサド体制が崩壊した後、ゴラン高原にアル・カーイダが侵入する、危険性があるのだ。それはイスラエルにとって、大きな不安であろう。