5月10日アルジェリアで国会議員選挙が実施された。結果は与党のFLN党(民族解放戦線)の大勝利に終わった。つまり、アルジェリアの選挙では他のアラブの春革命を起こした国のような、結果にはならなかったということだ。
野党のFJD党(自由公正民主党)の代表者である、ジャーバッラ―氏は選挙が不正なものであったと息巻いている。今回の選挙結果に対し、他のアラブなかでも、隣国チュニジアと同じ手法を採るとも語った。
つまり、ジャーバッラ―氏はイスラム革命を、起こすということのようだ。しかし、FLN党が462議席のうちの、220議席を確保したうえでは、困難なのではないか。この選挙結果は選挙結果だけを見る限り、FLN党に対するアルジェリア国民の信頼が、厚かったということになろう。
ジャーバッラ―氏はこうした状況を打破すべく、小野党を結集して、与党FLNに対抗しようと考えている。その一つは、野党全党が議員辞職をする、という方法だ。
与党FLN党はこうした非難の前に、選挙はスムーズに行われ、投票率は42パーセントに達したと報告している。他方、野党側や評論家たちは、この投票率は水増しされたものであり、投票率はせいぜい22パーセント程度ではないか、と推測している。
今後、FJD党を中心に野党各党の議員が、こぞって議員辞職をするようになるのか、あるいはジャーバッラ―氏が語るように、一気に革命運動に向かうのかは、今の段階では判断がし難い。
しかし、FJD党の幹部は同党が革命を扇動し、アルジェリア国内を混乱に陥れることは、考えていないと語っている。こうした穏健な発言が、FJC党内部から出てくるのは、FJD党が選挙活動で出遅れたことを、認めているからかもしれない。
もう20年以上前であろうか、イスラム救済戦線党(FIS)が多数を取った時、アルジェリア政府が軍を使って、これを潰したことがある。その軍とFISとの戦闘は、長期間にわたってアルジェリア国内を混乱に陥れた、という経緯がある。
アラブ人は他のアラブの国々で起こった革命の結果、それらの国々が現在どういう状況にあるのかを、冷静に考える時期が来ているのではないか。