リビアのアブドルラルラヒーム・キイブ首相の公邸が、ミリシアの集団に襲撃される、という事件が起こった。
このミリシア集団は200人ほどで、革命の恩賞をよこせ、という要求を掲げていたようだ。多くのリビア人は革命の後、周辺諸国のチュニジアやリビア、エジプト、ヨルダン、トルコなどに出かけ、怪我の治療という名目の、バカンスを楽しんでいる。
その治療費が膨大な額に達し、ヨルダンなどは未払い分を早急に支払うよう、リビア政府に要求している。最初、この話を聞いたときは気の毒な負傷者と同情心も沸いたのだが、カイロで会った彼らは、完全に観光旅行気分だった。
実は馬鹿らしい国費の無駄なようだが、今回の首相公邸襲撃事件のニュースが飛び込んでくると、けがの治療とは表向きの話で、当分の間、危険分子を外国に送り出し、国内の治安維持を図っているのではないかと思えてきた。
ベンガジやトリポリ、そして激戦地となったミスラタなどの住民は、早い段階から、その外国での治療という恩恵に。浴することができたのであろうが、今回のミリシア集団は。トリポリから100キロほど離れた、ヤフランの出身者たちだった。
つまり、出遅れたために、未だに軍隊や警察に就職できず、外国での治療という恩恵に浴することも、出来ないでいた人たちであろう。幸いに、首相公邸襲撃での死者は、一人にとどまった。
今回のことからもわかるように、革命後しかるべき仕事に就けないで、重火器だけを持っている若者が、相当数リビアにはいるということであり、彼らは要求が満たされなければ、何時でも牙をむくということだ。
襲撃犯はカダフィ派ではない、革命派の人たちなのだ。新生リビア政府にとって、この問題を解決することが、今後当分の間の最大課題であろう。リビア未だには落ち着いてはいない。特別な理由なしには訪問すべきではなかろう。