『アメリカの思惑通りアラブの春はイランにも?』

2012年5月 7日

 ホワイトハウスの国家安全局の副アドバイザーであるデニス・マクド-ナウ氏が、アラブの春革命へのアメリカの関与と現状分析、加えてイランへの影響についてコメントしている。

彼によれば、アラブの春革命にアメリカ政府は関与していたが、それなりの成果を上げているということのようだ。アラブ諸国は独裁的な体制が打倒され、民主的な体制に変化しつつある。

アメリカはアラブ諸国が、民主的な体制に変わっていくことを希望していたが、それがいま進んでいるという認識だ。ただ、その成果が明確になるまでには、あと1年の歳月が必要だろうとも語っている。

このアメリカのアラブの春革命への関与は、オバマ大統領とネタニヤフ首相との連携によるものであることを、デニス・マクド-ナウ氏は強調している。つまり、アラブの現状はアメリカとイスラエルの望む方向に、向かって変化しているということであろう。

ムスリム同胞団の台頭については、独裁体制がいずれのグループによってでも打倒され、新しい方向が出てくることが望ましい、その打倒する側のグループの一つとして、ムスリム同胞団が加わっていることに、何ら問題はないというのが、アメリカの立場のようだ。

加えて、アラブの春革命の影響は明確に、イランの国内でも変化を生み出しつつある、という認識を示している。中東諸国で起こっている変化は、イランの国内にも浸透し、やがて体制を揺さぶるということであろう。

確かに、アメリカが進めたイランに対する経済制裁は、イラン国内にインフレを生み、貧困層尾生活を圧迫し、アラブの春革命が起こったアラブの国々と同じように、イラン国民の間に変化を求める声が、大きくなってきていることは事実だ。

そうしたイラン国内の状況を如実に反映したのが、今回のイラン国会議員選挙の結果であったろう。これからイランはどこまで変化していくのか、注目に値する。加えてハメネイ師と保守派が、どのような舵の切り方をするのかも、興味深い。

イラン国内の大変化は案外早く始まるかもしれない。その状況変化に対応できる準備が、日本にはできているのだろうか。今までの日本の対応には、あまり問題がないような気もするのだが。