『イスラエル権力内部がイラン攻撃を巡り大割れ』

2012年4月30日

 

 イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカを訪問し、オバマ大統領を説得してイランに対する先制攻撃を仕掛ける許可と、その場合の援護を求めた。しかし、このネタニヤフ首相のイラン先制攻撃に始まる戦争計画は、失敗に終わった。

 いかにアメリカ国内でユダヤ人の力が強いといっても、これはイスラエル一国の問題ではなく、世界経済全体に大打撃を与える危険なものであり、オバマ大統領が賛成しなかったのは、当然の判断であろう。

 もし、イスラエルがイランの核兵器開発疑惑で、イラン攻撃をするようなことになれば、イランは対岸の湾岸諸国を攻撃し、加えて、ホルムズ海峡を封鎖することになる。そうなれば世界経済は大打撃を受けることは間違いない。

 中国は最も大きな被害を受ける国であろう。中国はいまだに鉄道輸送が未発達であり、トラック輸送に頼っているからだ。もし、湾岸諸国からの石油が入手出来なくなれば、中国の経済は破滅的な打撃を、受けることになるだろう。

 もちろん、ダメージを受けるということでは、ヨーロッパ諸国もアメリカも、第三世界も同じだ。つまり、イスラエルがイランに戦争を仕掛けるということは、イスラエルばかりではなく、世界中のユダヤ人が世界全体を敵に回す、ということなのだ。まさに、世界的規模でのホロコーストを起こす、引き金を引くことに繋がるのだ。

 イスラエルのネタニヤフ首相やバラク国防相は、戦争も辞さずという強い立場を堅持し続けているが、これは狂気に近いのではないか。以前から、友人と狂信的な人物が国家のトップになることの、危険さを語り合ってきたが、ネタニヤフ首相の立場は私が恐れる、まさにその立場なのであろう。

 しかし、イスラエルにも正常な判断が、出来る人たちが少なくないようだ。ネタニヤフ首相の戦争願望に対し、真っ向から反対する人物が現れている。一人はシンベト(国内情報機関)の元長官ユバル・ディスキン氏、もう一人はモサド(国際情報機関)の元長官メイル・ダガン氏だ。

彼らはイランが核兵器を開発しているという、確たる証拠はないとして、ネタニヤフ首相のイランに対する先制攻撃に反対し、このような国家存亡に関わる問題を、首相と国防相だけで決めることは、危険だと強く反対している。

 その通りであろう。それ以外にもネタニヤフ首相の強硬姿勢に反対し、閣僚を辞任すると言い出す人物も出てきているし、連立内閣から抜ける、と言い出している政党もある。ここにきて、イラン攻撃はイスラル内部から、可能性を潰し始めているようだ。そうあって欲しい。