イランが核兵器の開発に向かっているということで、いままでアメリカとイスラエルが、何時でも攻撃する用意がある、と叫び続けてきた。それに対し、イランも負けじとばかりに、やれるものならやってみろ、と言い返してきた。
イランからすれば、イスラエルまで届くミサイルはないとしても、レバノンにはヘズブラ、ガザにはハマースという、これまで支援し続けてきた組織があり、何時でもイスラエルに対し攻撃を仕掛けられる状況にある。
加えて、シリアの存在はイランにとって、実は頼もしい味方であろう。シリアがイスラエルに対し、ヘズブラやハマースと時を同じくして、戦争を仕掛ければ、イスラエルの必ずしも有利な戦争を、展開できるとは限るまい。
加えて、エジプトもムスリム同胞団が与党となった今日、何時イスラエルに対して攻撃的な姿勢を取り始めるか、分からない状況にあるのだ。
しかし、だからと言って、イランがいま絶対的な優位に、立っているわけではない。イランはアメリカの切りだす経済制裁により、大分ダメージを受けているようだ。イラン政府は日を開けずに、ガス田の発見があった、大油脈が発見された、経済は伸びている、世界の国々はイランの石油を買い続けている、という情報を流しているが、イラン国民はそのような政府の話には騙されない。
イラン国内経済はアメリカの経済制裁の効果が出始めており、日に日に悪化しているようだ。イランの通貨の下落。それに伴う輸入品の高騰、それに続く国内製品の値上がりとインフレ傾向が、強くなってきている。
その程度はだんだんひどくなり、最近ではイラン国民が何時暴動を起こしても、おかしくない状況に至っている、という話が漏れてきた。
つまり、このままイラン政府が対応に手間取っていると、政権そのものが打倒される危険性が、出てきたということであろう。そうした中で、ハメネイ師は極めて難しい決断を、迫られているということであろう。
国を滅ぼすのか、あるいは彼のアメリカへの恨みを晴らすべく、頑張り続けるのか。彼はアメリカの攻撃(テロ)によって、右腕を失っていることから、絶対に妥協はしたくないというのが本心であろうが、ここに至っては、かつてホメイニ氏がイラン・イラク戦争の終わりごろに語ったように、毒盃を煽らざるを得ないのかもしれない。
そうなると、アメリカとのパイプを持っている政治家、聖職者がクロ-ズアップされ始めるということであろう。その大物とは、かつての大統領職を務めた人物たちの誰かであろう。その人物の活躍に期待する。