まさにグット・タイミングとは、こういうことを言うのであろうか。4月5日に日本を発ち、6日午前1:45にカイロ空港に着いた。6日から友人知人に、大統領選挙の話を聞くことにした。
ムスリム同胞団から立候補すると言って、ムスリム同胞団の立候補者ではない立場でならかまわないと言われた、アブドルムナイム・アブルファトウ-フ氏、そのあとにはサラフィ組織のハーゼム・アブ・イスマイル、そしてムスリム同胞団は同組織から立候補者を立てないと言っていたにもかかわらず、ハイラト・シャーテル氏を立候補させることにした。
加えて立候補を語らなかった、オマル・スレイマ-ン副大統領も立候補することになった。これにガド党のアイマン・ヌール氏が立候補し、著名人が勢ぞろいという感じになった。
ムスリム同胞団はハイラト・シャーテル氏には、投獄歴があることから6年間は立候補できない、という法律があるため。選挙委員会が彼の立候補を認めない場合があるという不安から、もう一人の候補者ムハンマド・モルシー氏を、立てることになった。
つまり、ムスリム同胞団はこの大統領選挙を、絶対に勝利させたいと考えたわけだ。それは軍最高評議会が国会解散命令を、出すことを恐れたからだ。かつて、ナセル大統領の時代にムスリム同胞団が、ナセル大統領にとって危険な存在になった1954年に、実際に起こっているからだ。
しかし、それはムスリム同胞団の動揺を示す、何物でもなかったようだ。最近発表された世論調査によれば、組織力を誇るムスリム同胞団のハイラト・シャーテル氏を抜いて、トップの当選が予測されているのは、副大統領のオマル・スレイマン氏だった。
しかし、その後選挙委員会は、スレイマン氏には地方の支持者数が足りないとして失格とし、ハイラト・シャーテル氏は犯罪歴から、まだ時間が経過していないとして失格させ、ハーゼム・アブ・イスマイル氏も母親ナワール女史が、アメリカ国籍を得ていたことから失格とされた。
このため、最近まで4番5番に付けていた、アムル・ムーサ氏(元外相でアラブ連盟事務総長だった人物)や、ムスリム同胞団の代表として立候補できなかった、アブドルムナイム・アブルファットウフ氏が、有利な立場に回ったと言われている。
当然のことながら、立候補が失脚になった候補者たちは、これから異議申し立てを起こすだろう。そのうちの何人が立候補を認められ、何人が認められないのか、そして認められなかった人たちは、抗議デモを起こすのではないか、と予測される。
実際に物事がどう展開していくのか、予断を許されない状況にある。エジプトでは今、まさに小説が現実になっているような、大統領選挙が始まっているのだ。