サウジアラビアが国内で、麻薬取引をしていた681人を逮捕、というニュースが流れた。これはサウジアラビアの内務省の発表だが、その後にすぐに想像するのは、681人の斬首風景だ。
サウジアラビアでは麻薬取引に関与した者は、斬首刑に処せられるのだが、681人が斬首刑に処せられるということは、容易なことではあるまい。もちろん、このうちの何十人か何百人は、もっと軽い刑で済むかもしれないが、基本的には全員が、斬首刑ということだ。
問題はこの681人のうちに、96人のサウジアラビア人が、含まれているということだ。彼らの取引金額は4億5000万ドルにも及び、これまでに内務省が麻薬取引犯逮捕作戦を、43回展開している。その結果、20人の治安警察が負傷している、と報告されている。
麻薬の内容はヘロイン未精製が6・3キロ、ハッシッシが10・5トン、麻薬錠剤が1330万錠という内容だ。内務警察は同時に麻薬犯の所持していた、440万ドルを押収している。
麻薬取引は厳しい処罰を受けることが望ましいが、681人を逮捕し、そのうちの相当数を処刑するとなれば、人権組織がクレームをつけるのではないか。サウジアラビアでは処刑は斬首ということであり、外国人から見れば極めて残忍な、処刑法ということになるだろう。
もう一つ気になるのは、681人もの多数が麻薬取引に、関わっていたという現実は、サウジアラビア内部の秩序が、相当乱れてきているということではないか。もちろん、今回逮捕された犯人たちは、麻薬取引者の全てではあるまい。そうなると、どれだけ多くが麻薬取引に、関わっているか想像もできない。
サウジアラビアはイスラム教の国であり、国民の全てがイスラム教徒であり、サウジアラビアのイスラム教はワハビー派という、厳格な宗派なのだ。そこでイスラム教で禁止されている、麻薬取引が大々的に行われていたということは、大問題であろう。
この犯罪にサウジアラビアの王族は関与していないのか、関与していた場合どう処分されるのか。他の麻薬犯同様に公開で斬首刑に処せられるのか。そうでない場合の国民の反応はどうなるのか。
当然のことながら、例え王族の一員が麻薬取引に関与していても、それは一切報じられることはなかろう。しかし、サウジアラビア国民の間では、その情報が口伝に広がろう。681人という大量逮捕は、王家の不安定化にもつながるものではないか。