「フランスで起こったユダヤ人殺人事件の真相は?」

2012年3月20日

 

 オートバイに乗った男が突然銃を発砲し、4人のユダヤ人を殺害するという事件が、フランスの南西部のトウルーズという街で起こった。彼らは学校のそばで撃たれたのだ。

 ラビを勤める父親はエルサレムから来た人だという。そして彼の3歳と6歳の子供が犠牲になった。同時に8歳から10歳と見られる子供も、一人犠牲になっている。

 ユダヤ人に対する殺害と聞くと、すぐに連想するのはパレスチナ人、あるいはアラブ人イスラム教徒過激派、あるいはイスラム原理主義者ではないかということだ。

私もその例外ではなかった。ニュースのタイトルを見た瞬間、イスラエルによるガザへの攻撃に対する、パレスチナ人による報復ではないか、ということが脳裏をかすめた。

しかし、真相はどうやらアラブ人イスラム原理主義者、あるいはイスラム過激派でも、パレスチナ人による犯行でもないようだ。それ以上に今回の犯行は裏があるようだ。

そう考えたのは、後で伝えられた情報で、犯行に使用された銃器が、それ以前に起こった落下傘部隊に所属する、軍人殺害と同じものだ、ということが分かったからだ。この軍人はフランス軍に所属する軍人でムスリムだったというのだ。

しかも、このことに加え同様の犯行がそれ以前にも起こっており、犠牲者はカリブ海地域国の出身者と、北アフリカ出身の落下傘部隊に所属する、軍人だったということだ。それが事実とすれば犯人はパレスチナ人、イスラム教徒やアラブ人というくくり方をするには、相当無理が出てこよう。

これは他人種に対する嫌悪から起こった、犯罪ではないかと思えてならない。ナチ支持者またはイスラム過激派でによる、という説明には疑問が沸くのだが。

何の具体的な根拠もないが、非常に単純に考えれば、今回の犯行はフランス人の人種差別主義者によるものであり、外国人がフランスに居住することに対する、嫌悪感から起こされたのではないかと思えてならない。落下傘部隊の隊員が狙われたということは、彼らの気性が荒く、街の中で目立った存在だったのではないか。

今回の事件で恐れるのは、経済的な行き詰まり状況のなかで、ヨーロッパ各国の人たちの不満は暴発寸前なのだから、フランスだけではなく他のヨーロッパ諸国でも、同様の犯罪が連鎖的に発生するのではないかということだ。