「トルコの武士道・避難将軍人質と交換せず」

2012年3月19日

 トルコ政府が苦渋の決断を下した。それはシリアで先週人質になった2人のジャーナリストと、シリアから逃れてきた将軍とを、交換するか否かをめぐるものだった。

 トルコ人ジャーナリストはアデム・オズキョセ氏とハミト・ジョシクン氏だ。彼らはシリア政府寄りのミリタント組織、シャビバによって捉えられ、シリア政府の情報軍側に引き渡されている。

 トルコのマスコミではこの二人のジャーナリストと、シリアから逃れてきた将軍たちを、交換するのではないかと報じた。ジャーナリスト同士の支援の意味もある憶測記事であったろう。

 述べるまでもないことだが、二人のジャーナリストの家族にしてみれば、いかなる手段でも釈放されることを望んでいよう。

 ところが、トルコ政府のダウトール外相は、これらの情報を全面否定した。トルコ政府は避難してきたシリアの将軍たちと、人質になっている自国のジャーナリストを、交換する意思はないと言明したのだ。

 しかし、だからと言ってトルコ政府は、この二人のジャーナリストを見捨てたわけではない。ダウトール外相はイランのアリー・アクバル・サーレヒー外相と連絡し、二人のジャーナリストの早急な釈放の、仲介を依頼している。

 このダウトール外相の要請に対し、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外相は、最大限の努力をすることを約束している。

 さて、もしこれと同じことが起こった場合、日本政府はどう対応するだろうか。考えるまでもない、マスコミが大騒ぎし、政府は困り果て、結果的に何もできないで終わるのではないか。

 イスラム世界では、逃れて来た者を匿った者は、たとえ自分の命にかけてでも、匿い守り通すという教えがある。

 それは日本のサムライ・スピリットにも通じるようなのだが、残念なことに、サムライは今の日本では言葉しか残っていない。日本ではサムライ・スピリットなんて言っても、意味のないことかもしれない。