サウジアラビアの国務大臣で、国家警備隊のトップでもある、ムトイブ・ビンアブドッラー・ビン・アブドルアジーズ王子が、意外な不満を述べている。通常自国が不安定化していくときは、それに関わる情報は明かさないし、そのことについても否定はしても、認めたがらないものだ。
ところが、このムトイブ・ビン・アブドッラー大臣は、サウジアラビアに対する、外国の工作があることを語り警戒している。アラブ諸国で革命が起こり、幾つもの国々がそれに続き革命途上にあるが、それ以外の国々でも、不安定化の兆しがある。
ムトイブ・ビン・アブドッラー大臣はだから、サウジアラビアも十分に警戒しなければならない、と語っているのだ。そして、サウジアラブの国内を不安定化させるための工作が、外国によって行われていることにも言及している。
どうやらこれまで、何度か書いてきたように、サウジアラビア国内では明確な不安定の傾向が、現れ始めているということであろう。先日お伝えした、アブハのキング・ハーリド大学で起こった女子学生の抗議以外にも、サウジアラビア国内の幾つかの大学で、同様の抗議集会が起こっていたようだ。
インターネットや携帯電話、ツイッターやフェイスブックを通じ、アラブ各国間の国内情報は瞬時にして、他のアラブの国々にも伝えられるのだから、サウジアラビアだけがカヤの外、というわけにはいくまい。
情報は極めて平等に受け取れるシステムが、インターネットや携帯電話の普及で、アラブの湾岸王制諸国の間にも広がっているのだ。
サウジアラビアの幾つかの大学で起こった抗議集会についても、他の湾岸諸国の若者たちも既に知っていよう。それはサウジアラビアの学生の抗議行動が、他のアラブ王制諸国にも広がっていく、危険性があるということだ。
サウジアラビアの大学の場合、男女格差に対する抗議が、女子学生によって行われたが、それ以外に大学教職員のゾンザイな学生に対する対応や、宗教警察の大学への立ち入りと関与も、不満の一因になっているようだ。
サウジアラビアはいま、他のアラブの春を経験した国々や、そのアラブの春に追随している、アラブ諸国と同じように、これから国民の行動が、表面化してくるということであろうか。
大分前に書いたのだが、サウジアラビアの国民に対し、政府が大盤振る舞いによって、アラブの春を阻止しようとした努力は、水泡に帰する危険性があるということだ。そこまでサウジアラビアの若者層も、民主化意識、世界の流れをフォローするレベルに、進歩したということでもあろう。