「イラン攻撃はアメリカの滅亡に繋がるトルコ野党党首」

2012年3月 4日

 

 3月3日、トルコの野党トルコ民主党党首ナミク・ケマル・ゼイベク氏が、イランのプレス・テレビとのインタビューで、イランに対するアメリカの対応への批判について語っている。

ナミク・ケマル・ゼイベク氏に言わせると、イランはそれほど弱体な国ではないことと、忍耐力が強く、抵抗意識が強いということであろう。

 ナミク・ケマル・ゼイベク氏は、ホメイニ革命から間もないイランが、軍事的に全く整備されていなかった状態の下で、イラクとの8年間もの長きに及ぶ戦争を遂行したことを、その証として引き合いに出し、説明している。

 しかも、その当時イラク側は十分な兵器を持ち、軍隊も訓練が行き届いていたのだ。それにもかかわらず勝敗は付かず、五分五分の結果で終わっている。

 またナミク・ケマル・ゼイベク氏はアメリカについて、多くの戦争待望論者がいるが、アメリカは分裂の危険性を孕んだ、国家であることを指摘している。確かにアメリカの経済の悪化は、国民の間に大きな不満を生み出していることは確かだ。

そのなかで、アメリカが大きな犠牲を払って、何故イスラエルのための戦争をしなければならないのか、という不満も広がっており、それがアメリカを内向型にさせていく、可能性のあることを示してもいる。大統領候補のロン・ポール氏が善戦しているのは、そうしたアメリカ国民の不満を、真正面から受け止めているからではないのか。

トルコでは与野党を問わず、アメリカあるいはイスラエルによる、イラン攻撃について、反対の立場を採っている。トルコのアリ・ババジャン副首相も、イランの核問題の軍事力による解決に強く反対し、解決はあくまでも外交努力によるべきだ、と語っている。

今後、ロシアと中国は、イラン問題の解決は外交交渉によるべきだ、という立場を貫くであろうから、アメリカやイスラエルが簡単に、イランに対する軍事力の行使を、決断することは出来まい。

アメリカのオバマ大統領は戦争を望んでいないし、イスラエルのペレス大統領も本心では、戦争を望んでいないようだ。もし、イスラエルが強硬に軍事力の行使を行えば、世界経済は大きなダメージを受け、結果的にイスラエルは世界のなかで、孤立することになろう。

その世界の中での孤立は、第三世界だけではなく、欧米諸国でも同じであり、反ユダヤ、反イスラエル感情が、欧米諸国でも高まる危険性があろう。問題はイスラエルがどれだけ、冷静さを保ちうるかということではないのか。