現在イスラエル政府は、パレスチナ人が居住するヨルダン川西岸地区に、長大な鉄道網敷設の、計画を検討している。その総延長は475キロにも及ぶというのだから、すごい計画ということだ。
この鉄道はヨルダン川西岸の最北端ジェニン市から、最南端のヘブロン市までを結び、それ以外にもトルカラム市とナブルス市を結ぶ線、アリエル市からカランデーヤ市の近くを通過して、イスラエル領内に通じる線、ラマッラ市からイスラエル領内へ通じる線、ラマッラ市からジェリコ市に通じる線、ヘブロンからイスラエル領内に通じる線と複数に上る。
イスラエル政府はこの鉄道計画について、ヨルダン川西岸地区のイスラエルの入植地と、パレスチナ人の居住区を結ぶことによって、人と物資の移動を容易にする、という説明をしている。
しかし、本当の目的はそうなのであろうか。どうもこの計画図を見ていると、イスラエル領土内よりも鉄道網が、完備されるように見えるのだが、パレスチナ人のために鉄道を引くとは、一概には信じられない。
そこで敢えて、イスラエルの意図を疑ってみることにする。当然出てくるのは、鉄道の建設される地域では、パレスチナ人の土地が強制収容されよう。しかも、それは余裕をもって収容されることになろう。
次いで、そのことに反対するパレスチナ人の、国外追放が起こりえようし、パレスチナ側の武力による抵抗も起きよう。結果的には、この鉄道敷設計画はより、イスラエルによって多くの、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の土地が、収用されることになるのではないか。
加えて、この計画の推進に反対をするパレスチナ人は、容赦なく国外に追放されることになり、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人人口は、削減されるということでもあろう。
イスラエルによって土地を収用され、生活の目処が立たなくなったパレスチナ人たちは、外国に出稼ぎに行くようにもなろう。ヨルダン川西岸地区の住民は、ヨルダンのパスポートを持っている者が多いので、出稼ぎに行きやすいということもあろう。
そして最終的には、彼らには一旦ヨルダン川西岸地区から出ると、ニ度とヨルダン川西岸地区には、戻れなくなるということだ。
サウジアラビア分割の情報も飛び交う中では、こうしたことが起こったとしても、何の不思議もあるまい。鉄道計画はヨルダン川西岸地区から、パレスチナ人を追放する正当な口実なのかもしれない。