イランがイスラエルとアメリカによって、明日にも軍事攻撃を受けるのではないか、という懸念が世界中で広がっているなか、イランではアハマド・ネジャド大統領を、議会が吊るし上げにする、という現象が起きている。
アハマド・ネジャド大統領については、だいぶ前から種々のスキャンダルが、噂されてきていた。それをアハマド・ネジャド大統領は、選挙に影響を及ぼすことを理由に、避けてきていた。
今回、イラン議会選挙が終わり、しかも、ハメネイ師派の議員が大量当選したことで、状況はアハマド・ネジャド大統領に、極めて厳しくなった。その結果、イラン議会はアハマド・ネジャド大統領に関する、種々のスキャンダルを詰問することを、決定したのだ。
アハマド・ネジャド大統領と、最高指導者であるハメネイ師との間では、情報大臣の更迭を大統領が強行したこと、それにハメネイ師が反対していたこともあり、今回のような厳しい措置になったものと思われる。
アハマド・ネジャド大統領はイラン議会で、経済政策の失、敗金融スキャンダル、外交などが、詰問されることになった。金融スキャンダルをめぐっては、テヘランの鉄道延長に絡んだものだ。
今回のイラン議会での大統領査問会は、イランがイスラム共和国になって以来、初めてのものであることを考慮すると、相当大きな問題ということであろう。以前、似たようなことで問題になったアブルハサン・バニサドル大統領は女装で国外に逃れた、ということがある。彼はその後、フランスに亡命したままになっている。
さて、このイラン議会での査問を受け、アハマド・ネジャド大統領が議員に対し、満足いく答弁ができなければ、犯罪者ということになり、失脚するだろうが、それがどのような状況を、今後のイランに生みだすのであろうか。
もしアハマド・ネジャド大統領が失脚した場合、イランとイスラエル・アメリカとの緊張関係に、何らかの変化が生まれるかもしれない。そうなれば、イラン攻撃はなくなろう。
然し、ハメネイ師もイランの核開発推進派であることから、簡単にはいかないのではないか。唯一の望みはハメネイ師が、核兵器を悪魔の兵器として、それを制造することは最大の罪だ、と断じていることだ。
アハマド・ネジャド大統領を失脚させ、イラン政府はイスラエル・アメリカとの敵対関係に、終止符を打つつもりなのかもしれない。この予測は甘すぎるだろうか。しかしそうあって欲しいものだ。