「第3次インテファーダをイスラエルが警戒」

2012年2月28日

 インテファーダという言葉をお忘れの人がほとんどであろう。インテファーダは第一回が1987年の12月に発生し、第2回目は2000年9月に発生している。簡単に言えばパレスチナ問題が、完全にデッド・ロックにぶち当たり、なす術を失ったパレスチナ人たちが、石を武器にイスラエル軍と衝突するということだった。

 しかし、いずれのインテファーダも、しかるべき成果を生まずに、終わっている。そこには明確な方向性も目的もなかったのだから、無理の無いことであったろう。

最近になって、イスラエル軍や政府は、第3次インテファーダが起こるのではないかという懸念を、抱き始め警戒し始めている。状況は以前と同じであり、マハムード・アッバース議長によって行われてきた、イスラエルとパレスチナの交渉が、何の成果も生みだすことなく、今日に至っているからだ。

アラブ世界はいずこも『アラブの春革命』が大きく、各国を揺さぶっているというのに、パレスチナでは何の変化も生まれていないのだ。マハムード・アッバース議長による和平交渉は、何の成果も生まないだけではなく、同時進行でイスラエル側のヨルダン川西岸地区に対する、入植は着々と進んでいる。

こうしたなかでは、パレスチナ人の間で不満が増大していくのは、当然の帰結であろう。そのことは、パレスチナ内部でもアラブの春が吹き荒れる、可能性があるということだ。マハムード・アッバース議長に対する反乱の炎が、パレスチナ大衆のなかから生まれても、何ら不思議ではない。

そこでパレスチナ自治政府は、パレスチナ大衆の怒りをパレスチナ自治政府と、マハムード・アッバース議長に向けるのではなく、イスラエルに向かうよう、政治的インテファーダを起こすのではないか、という懸念が生まれている。

カタールの仲介でファタハとハマースが統一する方向に向かっているが、必ずしもしっくりいってはいないようだ。ハマースはこれまでの路線を捨てるつもりはなく、イスラエルに対する力による抵抗の姿勢を、崩していないのだ。

パレスチナ大衆の間には、イスラエルの拡張主義的な政策(ヨルダン川西岸地区への入植拡大)に対する反発もあるが、マハムード・アッバース議長に対する反発も強い。

パレスチナを各勢力を統一し、イスラエルに怒りを向けるという作戦は、場合によってはパレスチナ自治政府と、マハムード・アッバース議長に向かって、暴発するかもしれない。その選択肢はイスラエルも考えていよう。パレスチナ大衆の不満は、そこまで達しているのだ。