エジプトのムバーラク前大統領に対する判決が、6月2日に下されることになったが、判決が下る前に、エジプトの各マスコミが自説を述べている。そのことは、大衆の意向によるだろうし、大衆はマスコミの影響を、受けることになろう。
したがって、ムバーラク前大統領に対する判決は、多分にマスコミや大衆の意向を、反映したものになり、罪を罰するというのではなく、憎しみを持って罰することになるのではないか。それは法の公正という立場から考えた場合、極めて問題のあることであろう。
エジプトのマスコミは、それだけの重責を担っているのだが、現段階で、裁判の判決をどうしたいのであろうか。あるいはエジプト国民は、どのような判決を望んでいるのであろうか。
:アルアハラーム紙(政府所有)
―ハビーブ・アドリー前内相はハマースやヘズブラの関与を力説している。(発砲事件の多くは、彼らによるものだとする、ムバーラク前大統領やハビーブ・アドリー前内相に対する擁護。)
:アッドストール(民間企業の発行)
―ハビーブ・アドリー前内相と彼の部下アハマド・ラムジーは処刑されるべき。
:アルワフドワフド党所属反体制)
―ムバーラクは絞首台に向かう。
:アッシュルーク(個人所有)
―ムバーラク判決はショックを起こす。
:マスリ・アルヤウム(民間紙)
―ムバーラクは巧妙だ、処刑されれば支持派が狂気し、処刑されなければ大衆が騒ごう。彼は1か月前に撃たれて死ぬべきだった。
:アッタハリール(民間紙)
―ムバーラクは国民の流血を望んでいなかったと語っている。
:アル・ジュムフーリーヤ(政府系紙)
―ムバーラクの現実の姿があらわになった。
:ロウズルユーセフ(政府系誌)
―裁判所でベッドに横たわるムバーラクは、オスカーを受賞するにふさわしい最高の役者。
これらの論評をどう理解するかは、読者個々人にお任せしよう。一言言えるのは、ムバーラク大統領に対して、あまり擁護の声は大きくないということだ。