1961年から1963年まで、シリアの大統領を務めた人物に、アルコドスイーという人物がいた。彼の子息はいま、シリア人ビジネスマンとして、活躍している。
このシリア人ビジネスマンの名は、ファイサル・アルコドスイー氏だ。彼はビジネスマンの冷静な目で、いまのシリアをどう見ているのであろうか。彼はシリアの体制内部で、次第に分裂が始まっているとみている。
同時に、シリアの経済は各部門で、大幅な落ち込みが生じているとも語っている。例えば、観光収入はシリア国内が不安定になって以来、昨年の4月からほとんどゼロに落ち込んでいる。
シリアにとって観光業の収入は、GDPの15パーセントを占めていたのだ。それだけに、観光業に関係する職業は、壊滅的なダメージを受けているということであろう。シリアの旅行会社をはじめとし、タクシー、町のレストラン、土産物屋、そしてこれらと結び付く農業、軽工業分野も、ダメージを受けているということであろう。
シリアにとってのもう一つの、主要な外貨収入源となっているのは、石油の輸出だが、昨年11月から輸出が、停止状態にあるということのようだ。石油輸出はシリアの主要外貨収入源であり、GDP の30パーセントを占めていたのだ。
この結果、シリアの外貨準備高は220億ドルあったものが、いまでは100億ドルにまで、落ち込んでいるということだ。しかも、この外貨準備高の減少は、極めて早いスピードで進んでいるということだ。
このことに加え、シリア政府内部では、次第に分裂傾向が、顕著になってきており、イドリブ、ホムス、デラアと言った地方都市では、顕著にその傾向が表れ始めている。
シリアの主要なビジネスマンは、近い将来に対する不安から、シリアを離れる者が増加してもいる。そのことは同時に、多くの資金が外国に逃避する、ということでもあろう。
アメリカやヨーロッパ各国は、シリアに対する経済制裁を強化しており、シリアの経済の落ち込みは、ますます進むということであろう。その結果、シリアは外国が軍事介入しなくても、体制の崩壊が起こるかもしれない。
シリアもイランも、経済制裁は相当に国内状況に響き、混乱と対立が、顕著になっていこう。デニス・ロス氏はイランへの経済制裁が、応分の効果を生んでいると語ったが、シリアも同様であろう。